日本化学会誌(化学と工業化学)
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ビスフェノールA,ジフェニルテレフタラート/イソフタラートからなる芳香族オリゴエステルの固相重縮合
岩元 隆志木下 尚志正本 順三
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1999 年 1999 巻 3 号 p. 185-192

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抄録

工業的に得られているビスフェノールAの芳香族ポリエステル(ポリアリーレート)は通常ビスフェノールAとテレフタル酸/イソフタル酸クロリドの混合物との界面重縮合反応で得られている.本報告では酸クロリド誘導体を使用しないポリアリーレートの新しい合成法について述べた.前報ではビスフェノールAとテレフタル酸/イソフタル酸ジフェニルエステル(反応物のモル比1/0.5/0.5)との溶融重縮合によるポリアリーレートの合成法について述べた.さらに,ポリアリーレートを適当な溶剤と接触させることにより,結晶化させることに成功した.結晶化したポリアリーレートは固相重縮合により,色調の優れた高分子量のポリマーとなつた.高分子量化のキーポイントは末端基の-OH基とフェニル基との数を正確に一致させることにあつた.分子量は市販のポリアリーレートの2倍になり,また,分子量分有(Mw/Mn)は約2でmost probable distributionを示した.高分子量のポリアリーレートは優れた耐摩耗性を示した.得られたポリマーの融点は280℃ 以上を示し,時には300℃ 以上の高融点を示した.これらの値はランダムコポリアリーレート(ビスフェノールA/テレフタル酸/インフタル酸のモル比=1/0.5/0.5)の融点としてこれまで報告されている最高値よりも40℃ 高いものであった.

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