認知神経科学
Online ISSN : 1884-510X
Print ISSN : 1344-4298
ISSN-L : 1344-4298
原著
注意欠陥/多動性障害(AD/HD)動物モデルとしての無アルブミンラットに関する検討
袴田 康佑山本 隆宣
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 16 巻 1 号 p. 67-76

詳細
抄録

【要旨】近年、注意欠陥/ 多動性障害(Attention-Deficit/ Hyperactivity Disorder : AD/ HD)の動物 モデルの研究が盛んに行われているが、未だ完全なモデルの提唱はされておらず、新たなモ デルの提唱が必要とされる。本研究では、Nagase Analbuminemic Rat(NAR)の新たな AD/ HD 動物モデルとしての可能性について検討した。今回、NAR の野生型である Sprague Dawley Rat(SDrat)をコントロールとして比較して行った。その結果、オープンフィールド による自発的行動は NAR が高い結果を示し(p < 0. 001)、高架式一字迷路による衝動的な 不安関連行動のオープンアーム滞在率においても NAR が高い結果を示した(p < 0. 001)。 Y 字迷路による自発的交替行動では NAR が低い結果を示した(p < 0. 05)。このように NAR は AD/ HD 症状との共通点があることが明らかになった。さらに、SDrat と比較した NAR の前頭前野内の dopamine(DA)、noradrenaline(NA)、serotonin(5-HT)、5-hydroxyin- dole acetic acid(5-HIAA)の濃度は全て有意に低値を示した。小脳内においても 5-HT 濃度が SDrat と比較して低い結果となった。以上より、NAR が新たな AD/ HD 動物モデルとしての 可能性があることが明らかとなった。

著者関連情報
前の記事
feedback
Top