理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: FO420
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神経・筋疾患
特発性パーキンソン病患者の日内変動における運動能力の比較
*尾崎 麻子柴 喜崇大渕 修一斎藤 豊和
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抄録
【目的】  特発性パーキンソン病(以下IPD)の治療は薬物療法が主となるが,長期服用により日間変動としての"Wearing-Off"現象,日内変動としての"On-Off"現象といった問題が顕在化してくる。外来通院における観察では患者は"On" の状態であることが多く,"Off" periodには注目されていない。そこで今回我々はIPD患者の"Off" periodの運動能力を調査することを目的とした。【対象】  当院外来通院中の特発性IPD患者6名(男性3名,女性3名)で,平均年齢66±7.6歳,平均罹患期間は14.2±11.2年であった。"On" periodにおけるYahr重症度分類は,2度 1名,2.5度 3名,3度 1名,4度 1名であった。【方法】  患者の自宅に訪問し測定を実施した。患者と同居者両者の判断から"On" period,"Off" periodを定義した。同じ測定環境で同日2回測定した。測定項目は,(1)静的立位バランス項目(足位: 開脚・閉脚,Stride Stance,Tandem Stance,片脚立位),(2)自発的外乱による身体反応項目(Functional Reach Test, Bend-Reach Test, Step Test),(3)外的外乱に対する身体反応項目(Shoulder-tug;5段階尺度),(4)機能的バランス項目(最大努力5m歩行)とした。また,包括的評価としてYahr重症度分類,UPDRS,Webster Scaleを測定した。【結果】  1名のみ(1)-(4)の全ての項目において"Off" periodでの測定が不可能であったため除外した。(1)静的立位バランス項目では(変化割合),開脚(5.9%),閉脚(5.2%),Stride Stance(8.6%),Tandem Stance(52.5%),片脚立位(50.6%)であった。(2)自発的外乱による身体反応項目においては,FRT(24.2%),BRT(16.6%),Step Test(25.9%)であった。(3)外的外乱に対する身体反応項目では,Shoulder-tug(16.7%)であった。(4)機能的バランス項目では,5m最大歩行速度(41.5%)であった。包括的評価では,UPDRS(総合49.5%,ADL項目・運動機能項目ともに56.3%),Webster Scale(53.9%),Yahrの重症度分類(21.7%)であった。【考察】  静的立位バランス評価では30秒間を上限とした測定であったため,開脚・閉脚,Stride Stanceにおいて天井効果がみられた。自発的外乱項目において各テストの変化割合が26%以下と低値であった。これはIPDにおいて"On" periodもみられる固有な障害が影響していることが示唆される。Tandem Stance,片脚立位,最大歩行速度・UPDRS・Webster Scaleでは変化割合が40%以上と大きかった。 理学療法を考える上で"On" periodだけでなく"Off" periodの運動能力にも視点をあてる必要があると考えられた。今後はさらに症例数を増やすとともに,日内変動のみならず,日間変動による変化割合も調査していく。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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