抄録
目的:高血圧は多くの致死的疾患の危険因子であり,その発症予防は予防医学上重要な課題である.一方で生活習慣の変化に伴い高血圧の危険因子も変化していくことが予想される.本研究では,人間ドック受診者を対象に高血圧の危険因子を縦断的に検討した.
方法:当健診センターを2003年から2008年までの5年間毎年受診している1,701人中,既に高血圧を呈している199人と高血圧加療中の197人を除外した1,305人を対象とし,5年間の高血圧発症危険因子を多変量Cox比例ハザード回帰分析にて解析した.
成績:高血圧発症に関連すると予想される項目を調整因子とし多変量Cox比例ハザード回帰分析を行った結果,5年間の高血圧発症危険因子として年齢,body mass index(BMI),高血圧家族歴,初年度の収縮期血圧,拡張期血圧が独立した有意な危険因子であった.5年間のBMI変化と血圧変化の関係には正の有意な相関が認められ,初年度のBMIと5年間の高血圧発症率にも正の相関を認めた.また,対象者より糖尿病の薬物治療中の38人を除外し,同様に多変量Cox比例ハザード回帰分析を行った結果,上記の5項目に加えてHbA1cも有意な危険因子であった.
結論:近年,肥満はメタボリックシンドロームとの関連より様々な疾患の危険因子として注目されている.肥満は高血圧発症の危険因子であり,高血圧の予防には肥満の改善が重要である.