2010 年 25 巻 4 号 p. 644-651
目的:職員一般定期健康診断において,ゲルろ過HPLC法によりLDLサブクラスのコレステロール濃度およびLDL粒子サイズを測定し,メタボリックシンドローム(MS)リスク項目との相関解析を行い,臨床的意義を検討した.
対象・方法:21~69歳の男性職員538名について,ゲルろ過HPLC(high-performance liquid chromatography)法(®LipoSEARCH)により,LDLおよびそのサブクラス(大型,中型,小型)のコレステロール濃度,LDL粒子サイズを求め,MS健診リスク項目(肥満,高血圧,耐糖能異常,脂質異常)の重積数(MSスコアー),腹囲,BMI,収縮期血圧,拡張期血圧,HbA1cとの相関解析を行った.
結果:全例では,MS健診リスク全項目(BMI,腹囲,収縮期血圧,拡張期血圧,HbA1c)およびMSスコアーは小型LDL-Cと有意な正の相関(p<0.001)を,LDL粒子サイズと有意な負の相関(p<0.01)を示したが大型LDL-Cとは有意な相関が見られなかった.45歳以上でかつLDL-Cが140mg/dL未満の224例では,大型LDL-CはBMI,収縮期血圧,HbA1cおよびMSスコアーと有意な負の相関(p<0.05)を示した.
結論:ゲルろ過HPLC法による大型LDL-CはMS健診リスク項目と負の相関を示す機能の違うLDLのサブクラスであることが健常者集団で確認され,小型LDL-Cだけでなく大型LDL-C測定の意義が確認された.