人間ドック (Ningen Dock)
Online ISSN : 2186-5027
Print ISSN : 1880-1021
ISSN-L : 1880-1021
原著
体重変化と腹囲変化のどちらがより強く心血管危険因子の変化と関係するか?
小田 栄司河合 隆
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 25 巻 4 号 p. 656-663

詳細
抄録

目的:1年間の腹囲,BMIおよび体重の変化と収縮期血圧,拡張期血圧,空腹時血糖,中性脂肪,HDLコレステロール,LDLコレステロール,および高感度CRPの変化との間の関係を比較する.非薬剤投与群でも別途解析する.
方法:男性1,557人,女性816人を対象として,収縮期血圧130 mmHg以上,拡張期血圧85 mmHg以上,空腹時血糖100mg/dL以上,中性脂肪150 mg/dL以上,HDLコレステロール,男性40mg/dL,女性50mg/dL未満,LDLコレステロール140mg/dL以上,または高感度CRP,男性0.4mg/L,女性0.35mg/L以上のいずれかを伴う人において,関連薬剤を経過中に中止または新規投与された人を除外して,当該危険因子の変化を従属変数とし,腹囲,BMIおよび体重の変化を別個に独立変数とした線形重回帰を計算した.
結果:体重変化,BMI変化および腹囲変化の標準化回帰係数は,男性では,収縮期血圧,空腹時血糖,中性脂肪,HDLコレステロール,LDLコレステロールの変化に対して,それぞれ,0.124(p=0.005),0.132(p=0.003)および0.115(p=0.009),0.204(p<0.0001),0.189(p=0.0001)および0.167(p=0.001),0.067(p=0.183),0.145(p=0.004)および0.131(p=0.008),-0.263(p=0.006),-0.271(p=0.004)および-0.224(p=0.024),0.280(p<0.0001),0.227(p<0.0001)および0.150(p=0.005)であり,女性では,体重変化も腹囲変化もいずれの危険因子の変化に対しても有意な関係が見られなかった.非薬剤投与群でも結果は同様であった.
結論:男性において,体重変化は腹囲変化よりも空腹時血糖,HDLコレステロール,およびLDLコレステロールの変化と強く関係したが,中性脂肪の変化とは有意に関係せず,BMIと腹囲の変化は中性脂肪の変化と有意に関係した.

著者関連情報
© 2010 公益社団法人 日本人間ドック学会
前の記事 次の記事
feedback
Top