抄録
目的:近年,我が国において前立腺がんの若年化が見られるようになってきた.若年者の臨床的に重要ながんを見逃さないためにPSA年齢階層別基準値(Age-specific Reference Range of PSA:ASRR PSA)は有効な方法であるとされている.高崎健康管理センターの前立腺がん検診においても2009年4月からASRR PSAを導入した.今回,ASRR PSAでの検診結果について若干の検討を行ったので報告する.
対象および方法:対象は2009年4月から,2010年3月までにASRR PSAで行われた,50歳以上で,疫学研究へのデータの使用を文書にて同意した4,532人である.
結果:今回の対象者から12人の前立腺がん患者が発見された.このうち2人はASRR PSAでの発見であり,いずれも臨床的に有意義ながんであった.
結論:今後もASRR PSAを用いた検診を続け,その意義をいっそう明らかにしたい.