人間ドック (Ningen Dock)
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27 巻, 1 号
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巻頭言
論説
  • 伊藤 一人
    2012 年27 巻1 号 p. 7-16
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/10/03
    ジャーナル フリー
     我が国の前立腺特異抗原(PSA)を用いた前立腺がん検診の普及率は低く,現在も多くの臨床的に重要ながんが進行するまで見逃されている.また,前立腺がん死亡数は増加し続けており,2010年は11,600人と推計され,2025年には15,700人に増加すると予測され,最も効果が期待できる対策を早急に講じるべきである.
     前立腺がん検診は無作為化比較対照試験で死亡率低下効果が得られることが証明されており,日本泌尿器科学会は前立腺がん検診ガイドラインにおいて,「前立腺がん死亡率を低下させるPSA検診を推奨する」との指針を示した.一方で,検診受診から治療までの過程で不利益を被る場合もあり,検診の受診による利益と不利益を正しく住民に啓発したうえで,受診希望者に対して最適な前立腺がん検診システムを提供することをガイドラインに明記している.
     死亡率低下効果が証明されたPSA検診は,日本泌尿器科学会のガイドラインに沿って,日本の主な受診機会である住民検診および人間ドックなどで正しく普及させることで,前立腺がん死亡率の低下が期待できる.
原著
  • 亀井 一彦, 矢代 智康, 宮北 誠, 石川 廣記
    2012 年27 巻1 号 p. 17-22
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/10/03
    ジャーナル フリー
    目的:子宮頸がん検診に液状検体処理法(Liquid Based Cytology,以下,LBC法)を導入し,その有用性を綿棒での採取,直接塗沫による従来法と比較検討する.
    方法:子宮頸部細胞診を受診した3,631名に対し,1,835名を従来法,1,796名をLBC法で標本を作製し,不適正検体出現率,細胞診所見を比較した.ASC-US症例に対してはハイリスク型HPV検査を追加,陽性例に対しさらにコルポスコープ下組織生検を施行,病理学的診断との関連を検討した.
    結果:不適正検体の出現率は従来法38例(2.07%),LBC法0例(0%)と,LBC法で有意に減少した.異常所見なしと診断された割合は従来法で98.16%,LBC法で96.10%と有意差を認めなかった.ASC-USは従来法0.72%,LBC法2.45%とLBC法で有意に高率であった.このうち従来法8例(61.5%),LBC法19例(43.3%)に対してHPV検査を追加,1例(12.5%) と4例(21.1%)がそれぞれ陽性で,3例が中等度異形成,1例が軽度異形成と診断された.
    結論:従来法に比べLBC法は,適正検体の作製に優れた方法であることが示された.また,LBC法は病変の検出率でも従来法と同等以上の有用性があることが示された.LBC法ではASC-USと診断される割合が高くなるが,HPV検査の併用で,より精度の高い検診を行える可能性が示唆された.
  • 草場 公宏, 鴨井 逸馬, 田北 淳, 高橋 信, 森田 一徳, 庄田 昌隆
    2012 年27 巻1 号 p. 23-28
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/10/03
    ジャーナル フリー
    目的:所属5健診施設において船員集団における前立腺がんの実態を全国規模で調査し,早期診断に結びつける試みを行った.
    対象と方法:2005~2007年の3年間に全国の船員集団8,723名について延べ16,231回,PSAタンデム法によって血清中前立腺特異抗原(PSA)を測定した.PSA陽性率に関してはこのうち40歳以上の者8,453名,延べ検査総数15,907件を対象に検討した.PSA基準値は4.00ng/mL以下である.
    結果:40歳以上の初回PSA検査受診者8,453名中PSA陽性者(基準値を超えた者)は191名で,陽性率は2.3%であった.今回の調査期間中に前立腺がんと診断された者が全国で合計16例確認された.がん診断時年齢は50歳代4名,60歳代9名,70歳代3名であった.がん診断時のPSA値は4.85~134.5ng/mLであった.
    結論:今回の船員集団での陽性率2.3%は,我が国における40歳以上の一般的健康成人集団でのPSA陽性率を代表するデータと考える.調査期間中に全国で計16名が前立腺がんと診断された.現時点でのがん検出率は少なくとも0.19%以上と推定される.
  • 福井 敏樹, 山内 一裕, 丸山 美江, 佐藤 真美, 高橋 英孝, 山門 實
    2012 年27 巻1 号 p. 29-35
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/10/03
    ジャーナル フリー
    目的:人間ドック健診は,生活習慣病の発症予防と早期治療,がんの早期発見と早期治療を大きな目的としている.しかしながら人間ドック健診と一般健診受診者の医療費について比較検討した報告はこれまでほとんどない.したがって今回我々は,通常の健診を毎年受けている集団(一般健診群)と毎年人間ドックを受け続けている集団(ドック健診群)における医療費の経年変化を比較検討し,毎年人間ドック健診を受け続けていれば,本当に一般健診以上の医療費削減効果があるのかを検討した.
    方法:対象は四国エリアの40歳代および50歳代のNTTグループ社員.平成15年度から17年度までの3年間連続での一般健診群と3年間連続でのドック健診群における年間医療費を,平成18年度から22年度まで5年間前向きに追跡した.
    結果:男性については,40歳代および50歳代の一般健診群では経年的に年間医療費が増加する傾向が見られた.5年間の累積医療費の両群の差は,40歳代は,男性約14.3万円,女性約-6.9万円であった.50歳代は,男性約33.0万円,女性約4.0万円であった.男性においては40歳代,50歳代共に両群の差が年々大きくなっていった.
    結論:50歳代男性では,人間ドック健診と一般健診との費用差額を考慮しても,毎年人間ドック健診を受けることに医療費削減効果があることが示された.
  • 宮本 祐一, 木村 美樹, 柿本 陽子, 福岡 直美, 水城 比呂子
    2012 年27 巻1 号 p. 36-40
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/10/03
    ジャーナル フリー
    目的:40歳以上の緑内障有病率は5.0%である.その78%が広義の原発開放隅角緑内障であり,その92%が正常眼圧緑内障,normal tension glaucoma(以下,NTG)である.このNTGの発見へのfrequency doubling technology (FDT)視野計の有用性を検討した.
    方法:2010年5月17日より2011年1月31日までのFDT実施4,014名の中のFDT陽性者235名(5.9%)中108名が眼科を受診した.その診断結果を検討した.
    結果:NTGが56名,原発開放隅角緑内障が5名,原発閉塞隅角緑内障が1名,続発緑内障が1名であった.FDT陰性で眼底検査,眼圧検査で精査となりNTG,原発開放隅角緑内障と診断された5名を含めると68名の緑内障が発見された.FDTのみの異常者172名,精査受診者68名,発見緑内障49名,眼底,眼圧のみの異常者88名,精査受診者48名,発見緑内障19名,特に,発見緑内障68例中3例のみが眼圧での陽性者であった.すなわちFDT検査がなければ68例中49例の緑内障が発見できず,眼底,眼圧のみでは19例の発見であり,FDT導入によって,発見率は3.6倍に増加した.2009年度の眼底,眼圧のみでは4,313名中10名の緑内障が発見されたのみであり,発見率は0.23%であったが,FDT導入後の眼底,眼圧,FDTのいずれかを行った総数は4,051名であり,緑内障発見率は1.68%と有意に増加した.
    結論:人間ドックにおいて,NTGの発見にはFDT視野計がきわめて有用である.
  • 小川 恭子, 橋本 光代, 山本 敬, 奥田 近夫, 辻 裕之, 謝 勲東, 田邉 真帆, 大本 由樹, 天川 和久, 加藤 久人, 有元 ...
    2012 年27 巻1 号 p. 41-45
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/10/03
    ジャーナル フリー
    目的:当院の人間ドックにおける上部消化管内視鏡検査での胃がんの発見率,発見された胃がんの内視鏡検査歴や背景胃粘膜との関係について検討した.
    方法:対象は,最近3年間に当院の人間ドックで上部消化管内視鏡検査を受けた20,051例とした.当院での前回内視鏡検査歴について逐年群,非逐年群,初回群に分類し,背景胃粘膜の萎縮の程度をなし,軽度,中等度,高度,判定不能に分けて検討した.
    結果:胃がん発見率:52例(55病変)に胃がんが発見され,胃がん発見率は0.26%であった.男性48例(0.34%),女性4例(0.07%)で,内視鏡検査歴のある逐年群と非逐年群に30例(0.21%),初回群に22例(0.38%)であった.内視鏡検査歴との関係:がんの大きさについては,逐年群では73.7%(14/19)が20mm未満であったのに対し,初回群では36.4%(8/22)が20mm未満であった.がんの深達度については逐年群では深達度不明3例を除く16例全例が粘膜(M)癌であったのに対し,初回群ではM癌は59.1%(13/22)であった.背景胃粘膜との関係:胃粘膜の萎縮が進行した症例ほど分化型癌の発生が多い傾向があった.胃粘膜萎縮のない症例からも3例(5.8%)にがんが発見され,それらはヘリコバクター・ピロリ(HP)抗体陰性の未分化型癌であった.
    結論:早期の胃がんを発見するためには,逐年の内視鏡検査が有用であると考えられた.
  • アミール 喜代子, 渡辺 満利子, 横塚 昌子, 小林 米幸
    2012 年27 巻1 号 p. 46-55
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/10/03
    ジャーナル フリー
    目的:本論文は,メタボリックシンドローム(以後MetSと記載)改善のための亜麻仁油摂取を含む実践プログラムに基づく栄養教育効果の評価を目的とした.
    方法:2009年11月~2010年3月,介入群(実践プログラム)9名(男/女,4/5),対照群(電子メールプログラム)男性9名を対象とし,介入前調査を行い,同調査を介入2,4ヵ月後に実施した.両群とも介入2ヵ月後までは基本食(1,800±150kcal/日),亜麻仁油(α-リノレン酸,以後ALAと記載,2.14g/日)摂取,および基本運動(2.5Ex/日)を課し,2ヵ月後以降は基本食と運動のみを課した.介入群の栄養教育は,期間中,合計8回(2回/月)実施し,対照群は電子メールによる4回(1回/月)の教育を受けた.統計解析は,対応のないt-検定で2群間の変化値を比較検討し,有意水準は5%とした.
    結果:介入2ヵ月後の介入群の腹囲・SBP値(各p<0.05),DBP値・MetSリスク因子数は対照群に比し減少し(各p<0.01),血清ラウリン酸も減少した(p<0.05).エネルギー・たんぱく質・炭水化物摂取量は減少し(各p<0.05),大豆類摂取量は増加した(p<0.05).介入4ヵ月後の介入群のSBP値(p<0.05),DBP値(p<0.01)は対照群に比し減少した.ラウリン酸(p<0.01),パルミチン酸(p<0.05)は減少し,オレイン酸,DHA,ドコサテトラエン酸(以後DTAと記載)(各p<0.05)は増加した.エネルギー,炭水化物摂取量は減少した(各p<0.05).
    結論:MetS改善のための亜麻仁油摂取を含む実践プログラムに基づく栄養教育効果を認めた.
  • 熊坂 文成, 加瀬 嘉明, 山中 英壽, 戸塚 真弓, 石井 秀和, 曲 友弘, 狩野 臨, 小倉 治之, 黒澤 功, 伊藤 一人
    2012 年27 巻1 号 p. 56-59
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/10/03
    ジャーナル フリー
    目的:近年,我が国において前立腺がんの若年化が見られるようになってきた.若年者の臨床的に重要ながんを見逃さないためにPSA年齢階層別基準値(Age-specific Reference Range of PSA:ASRR PSA)は有効な方法であるとされている.高崎健康管理センターの前立腺がん検診においても2009年4月からASRR PSAを導入した.今回,ASRR PSAでの検診結果について若干の検討を行ったので報告する.
    対象および方法:対象は2009年4月から,2010年3月までにASRR PSAで行われた,50歳以上で,疫学研究へのデータの使用を文書にて同意した4,532人である.
    結果:今回の対象者から12人の前立腺がん患者が発見された.このうち2人はASRR PSAでの発見であり,いずれも臨床的に有意義ながんであった.
    結論:今後もASRR PSAを用いた検診を続け,その意義をいっそう明らかにしたい.
  • 宇野 充子, 永野 英子, 岡田 睦美, 北村 明彦, 木山 昌彦, 岡田 武夫, 石川 善紀
    2012 年27 巻1 号 p. 60-65
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/10/03
    ジャーナル フリー
    目的:近年,高血圧・糖尿病の有病率の増加が指摘されている壮年男性における,眼底の網膜細動脈硬化の有所見率と関連因子の推移を検討した.
    方法:2001年度から2009年度に循環器健診を受診した40~69歳の男性(大阪の勤務者および住民)を受診期間毎にⅠ期(01~03年度:4,079人),Ⅱ期(04~06年度:3,253人),Ⅲ期(07~09年度:3,003人)に分け,網膜細動脈硬化の頻度および関連因子の平均値と頻度の推移を検討した.さらに網膜細動脈硬化の関連因子を多変量解析により検討した.
    結果:高血圧者の頻度は40,50,60歳代いずれの年齢層でも有意な変化はなかったが,降圧剤服薬者の年齢調整頻度はⅠ期からⅢ期にかけて有意に増加した.糖代謝異常の頻度はいずれの年齢層でもⅠ期からⅢ期にかけて有意に増加した.網膜細動脈硬化の頻度は40歳代ではⅠ期5%,Ⅱ期9%,Ⅲ期9%,50歳代ではⅠ期12%,Ⅱ期18%,Ⅲ期20%と有意に増加した.網膜細動脈硬化の関連要因はⅠ期,Ⅱ期,Ⅲ期のいずれの時期でも,年齢,血圧値,降圧剤服薬が有意に関連し,さらにⅢ期では糖代謝異常が有意の関連因子となった.
    結論:大阪の壮年男性において網膜細動脈硬化の有所見率が近年増加していることが明らかとなった.この背景として,降圧剤服薬者の頻度の増加や糖代謝異常者の頻度の増加が関連していると考えられた.
  • 藤原 正則, 光島 徹, 永田 浩一, 飯田 直央, 茂木 智洋, 村岡 勝美, 赤羽 麻奈, 吉田 悟, 永谷 京平, 和田 亮一
    2012 年27 巻1 号 p. 66-72
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/10/03
    ジャーナル フリー
    目的:大腸がん検診における大腸3D-CTの有用性を評価するために,大腸内視鏡をゴールドスタンダードにした陽性適中率と受診者の受容性を検討した.
    方法:人間ドックで大腸3D-CTを受けた994名を対象とした.便潜血陽性または大腸3D-CTにて5mm以上の隆起性病変が疑われた場合に内視鏡を実施した.大腸3D-CTの陽性適中率とアンケート結果をもとにした受容性を検討した.
    結果:サイズ別の病変陽性適中率は,5mm以上の病変では89.6%(43/48),10mm以上で94.4%(17/18)であった. 受容性は「大腸3D-CTの方が楽」と答えた受診者は40.8%(248/608),「両検査の負担は同じくらい」と答えたのは27.1%(165/608),「内視鏡の方が楽」と答えたのは32.1%(195/608)であった.ただし,内視鏡では81.3%で鎮静剤(ペチジン塩酸塩注射液)が使用されていた.次回希望の検査は,「大腸3D-CT」が31.5%(191/607),「どちらでも構わない」が28.2%(171/607),「内視鏡」が40.4%(245/607)であった.
    結論:大腸3D-CTの陽性適中率は従来の報告通り十分であった.しかし,大腸3D-CTの受容性は鎮静剤を使用した内視鏡に比べ必ずしも満足いくものではなく,今後は前処置における腸管洗浄剤の減量などさらなる受容性向上に取り組む必要がある.
  • 菅野 壮太郎, 大塚 博紀, 河村 正敏
    2012 年27 巻1 号 p. 73-80
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/10/03
    ジャーナル フリー
    目的:埼玉県狭山市および近隣の川越市,所沢市,入間市,飯能市,日高市における乳がん検診受診率,乳がん検診の取り組みについて調査し,その問題点を考察した.
    方法:6市の2006~08年度の乳がん検診受診率,2011年度の乳がん検診の取り組みについて,国立がん研究センターがん対策情報センター資料,各市広報誌などより調査した.
    結果:2008年度乳がん検診受診率は入間市31.0%,狭山市21.9%,所沢市16.0%,飯能市8.9%,川越市8.0%,日高市7.1%,マンモグラフィ(MMG)検診施設画像認定施設は川越市10,所沢市8,入間市7,狭山市4,日高市3,飯能市1施設,MMG読影認定医師数は所沢市24,川越市17,狭山市13,日高市13,入間市1,飯能市0人であった.検診の取り組みは,対象年齢40歳以上4市,30歳以上2市,受診間隔隔年は5市,逐年1市,MMG撮影方向40歳代のみ2方向・その他年齢1方向は5市,40歳以上2方向撮影は1市,負担金は無料から最大1,600円まであった.検診所見用紙,項目内容もさまざまであった.
    結論:受診率向上対策として,広域での乳がん検診への取り組み,受診者が集中しない通年受診期間設定,MMG読影医を増やす,無料クーポン券の継続,視触診を廃止したMMG+超音波検診併用方法の模索,検診事業統一,共通検診所見用紙の作成,検診統計精度向上,を提言する.
  • 荏原 まり子, 田中 照二, 宇津木 一雄, 淀 健一郎, 庄司 克夫, 外丸 晃久, 木村 篤人
    2012 年27 巻1 号 p. 81-86
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/10/03
    ジャーナル フリー
    目的:メタボリックシンドロームの診断基準や特定保健指導の階層化において腹囲・Body Mass Index(BMI)が第一条件になっている.両者の該当・非該当者で,特定健康診査(特定健診)項目や肝腎コントラストへの影響を明らかにするために比較検討を行った.
    方法:2010年4月~2011年3月に当クリニックの人間ドック・健康診断を受診した30~60歳代までの男性6,705名を対象とした.
    結果:肝腎コントラスト(+)・肝腎コントラスト(-)両群ともに,血圧・空腹時血糖・HbA1c(JDS値)に関しては,年令とともに増加傾向であった.腹囲・BMIが(-)で肝腎コントラストが(+)の者でも,半数以上が空腹時血糖やHbA1cが基準値を上回っていた.4年経過した所見を比較すると,腹囲・肝腎コントラスト両者が(-)に改善した者は,血液検査項目の中で有意に改善した項目が多く認められた.
    結論:腹囲・BMIの該当だけに特化されることなく,肝腎コントラスト(+)の者に対して早めにアプローチを行い,継続的な経過観察を行っていく必要があることが示唆された.
  • 青木 空眞, 佐藤 憲一, 星 憲司, 川上 準子, 鈴木 祥子, 森 弘毅, 佐藤 研, 中川 吉則, 志村 浩己, 齋藤 芳彦, 吉田 ...
    2012 年27 巻1 号 p. 87-96
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/10/03
    ジャーナル フリー
    目的:人間ドック受診者を対象に,我々が開発した複数の基本的検査を用いて顕性甲状腺機能異常者を発見する新しい手軽なスクリーニング手法のさらなる精度向上を図る.
    方法:2008年7月~2011年12月間のJR仙台病院人間ドック受診者延べ9,816名(男性6,730名,女性3,086名)~重複なしでは4,355名を対象に,従来の基本的検査5項目~アルカリホスファターゼ(ALP),血清クレアチニン(S-Cr),総コレステロール(TC),乳酸脱水素酵素(LDH),赤血球数(RBC)に加え,1)亢進症では心拍数を加えた4項目セットを使用,2)脂質異常症を合併する人間ドック受診者に対する服薬補正,3)基本的検査の時系列変化に見られる特徴を考慮,したスクリーニングを行う.
    結果:スクリーニングで疑われた89名の甲状腺ホルモンを測定,11例にホルモン値異常が見られた.新規に発見された11名は全例人間ドック担当医に甲状腺の異常を疑われていなかった.上記1),2),3)のいずれも偽陰性と偽陽性の回避傾向をもたらした.
    結論:人間ドック受診者の測定済み基本的検査の複数項目セットを用いて行う新しいスクリーニング手法の有用性が確認された.心拍数と服薬補正を加えた予測モデルおよび時系列変化の特徴把握は本手法の精度向上に大きく貢献することが確認できた.
  • Satoki Homma, Masayoshi Sone, Iwao Kurose, Ryoko Homma, Takeo Nagare
    2012 年27 巻1 号 p. 97-102
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/10/03
    ジャーナル フリー
    Objective: To change lifestyle behavior in the treatment of hypertension, diabetes, dyslipidemia and obesity, we tested a telemonitoring system (i-TECHO) consisting of an automated sphygmomanometer, a body weighing scale and a pedometer. These devices were connected via USB to a specific home gateway device, which transmitted self-monitoring data to a central server via the cellular-phone network.
    Methods: One hundred and two patients with lifestyle diseases (average age 51.5, 84 males and 18 females) were asked to measure their blood pressure every morning and before going to bed at night, and body weight every morning, and to wear a pedometer all the time except when they were in bed for 3 to 4 months. Charts made from the telemonitoring data were sent to each patient by mail each month.
    Results: The averages of blood pressure, body weight and daily steps and all other measurements, significantly improved, especially in the subjects with an initially poor lifestyle status. The actual measurements as a proportion of the total number due were 55-76% for each sensor and the rates decreased significantly in the third month. Only 5-12% of the subjects complained that they could not conduct the self-measurement well but a considerable proportion of them (32.5%) found difficulty in the data transmission procedure. Elderly people showed greater willingness to pay for a potential commercial health promotion service using i-TECHO.
    Conclusions: Although the usefulness of the i-TECHO system in achieving lifestyle changes was validated, it should be made easier to use by revisions such as adopting automatic wireless data transmission, and encouragement through the provision of individualized advice should also be given.
  • Tomoko Shiga, Yuriko Moriyoshi
    2012 年27 巻1 号 p. 103-107
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/10/03
    ジャーナル フリー
    Objective: To improve customer service, we surveyed people who underwent annual Ningen Dock health check-ups.
    Methods: A total of 129 subjects who visited the Department of General Medicine, National Center for Global Health and Medicine from February through March 2011 for annual Ningen Dock health check-ups were surveyed. Data were collected using a questionnaire that included the following items: satisfaction with hospitality, examination quality, waiting time, distance between examination rooms, facilities, meals, protection of privacy, fees, overall satisfaction, intention to revisit, and referring others. The responses were scored on a five-point Likert scale.
    Results: In total, 119 subjects responded. Average scores for examination quality and satisfaction with hospitality were highest, while the score for fees was lowest. Multiple regression analysis showed that protection of privacy, satisfaction with hospitality, and examination quality were statistically associated with overall satisfaction. The correlation coefficient between the overall satisfaction score and intention to revisit was 0.470, which demonstrated that correlation was only present to a certain degree.
    Conclusion: Protection of privacy, satisfaction with hospitality, and examination quality are factors important to customer satisfaction. Further improvements in these areas will be necessary to attract more customers. The significant correlation between the overall satisfaction score and intention to revisit suggests that improvements in customer satisfaction could increase the number of repeat customers.
  • Eiko Takahashi, Kengo Moriyama, Chizumi Yamada
    2012 年27 巻1 号 p. 108-113
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/10/03
    ジャーナル フリー
    Objective: Although the same high-density lipoprotein cholesterol (HDL-C) reference value is used for both genders in Japan, there are distinct HDL-C criteria for men and women in Western countries. In this study, we compared the 95% reference intervals of healthy subjects for men and women and tried to clarify a gender difference in HDL-C after adjusting for factors which may affect the HDL-C level.
    Methods: Study subjects were selected from health check-up examinees. People were excluded if they were taking medication for hypertension, dyslipidemia, diabetes and/or hyperuricemia, had a history of coronary artery disease, cerebrovascular disease and/or chronic renal failure, had a body mass index ≥25 kg/m2, were smokers, or drank ≥25 g/day alcohol. HDL-C values were log transformed, with values beyond the mean ±3 SD truncated. The means ±2 SD of the log HDL-C values were defined as the upper and lower reference limits for HDL-C. A total of 1,582 subjects (365 men, 1,217 women) were analyzed.
    Results: The reference interval for HDL-C was 42 - 92 mg/dL in men and 50 - 109 mg/dL in women. Mean HDL-C was 63.3 ± 12.8 mg/dL for men and 74.7 ± 15.2 mg/dL for women.
    The results of multiple regression analysis suggested that HDL-C was increased by female sex (9.922 mg/dL gain), exercise habit (more than 30 min a time, twice a week: 2.512 mg/dL gain), losing 1 kg/m2 in BMI (1.575 mg/dL gain) and aging one year (0.206 mg/dL gain).
    Conclusion: Having a distinct HDL-C reference interval for each gender might be desirable for Japanese.
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