人間ドック (Ningen Dock)
Online ISSN : 2186-5027
Print ISSN : 1880-1021
ISSN-L : 1880-1021
原著
都市部の壮年男性の網膜細動脈硬化の有所見率と関連因子の推移についての検討
宇野 充子永野 英子岡田 睦美北村 明彦木山 昌彦岡田 武夫石川 善紀
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 27 巻 1 号 p. 60-65

詳細
抄録
目的:近年,高血圧・糖尿病の有病率の増加が指摘されている壮年男性における,眼底の網膜細動脈硬化の有所見率と関連因子の推移を検討した.
方法:2001年度から2009年度に循環器健診を受診した40~69歳の男性(大阪の勤務者および住民)を受診期間毎にⅠ期(01~03年度:4,079人),Ⅱ期(04~06年度:3,253人),Ⅲ期(07~09年度:3,003人)に分け,網膜細動脈硬化の頻度および関連因子の平均値と頻度の推移を検討した.さらに網膜細動脈硬化の関連因子を多変量解析により検討した.
結果:高血圧者の頻度は40,50,60歳代いずれの年齢層でも有意な変化はなかったが,降圧剤服薬者の年齢調整頻度はⅠ期からⅢ期にかけて有意に増加した.糖代謝異常の頻度はいずれの年齢層でもⅠ期からⅢ期にかけて有意に増加した.網膜細動脈硬化の頻度は40歳代ではⅠ期5%,Ⅱ期9%,Ⅲ期9%,50歳代ではⅠ期12%,Ⅱ期18%,Ⅲ期20%と有意に増加した.網膜細動脈硬化の関連要因はⅠ期,Ⅱ期,Ⅲ期のいずれの時期でも,年齢,血圧値,降圧剤服薬が有意に関連し,さらにⅢ期では糖代謝異常が有意の関連因子となった.
結論:大阪の壮年男性において網膜細動脈硬化の有所見率が近年増加していることが明らかとなった.この背景として,降圧剤服薬者の頻度の増加や糖代謝異常者の頻度の増加が関連していると考えられた.
著者関連情報
© 2012 公益社団法人 日本人間ドック学会
前の記事 次の記事
feedback
Top