人間ドック (Ningen Dock)
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原著
大腸がん検診における大腸3D-CT(CTコロノグラフィ)の有用性の検討
藤原 正則光島 徹永田 浩一飯田 直央茂木 智洋村岡 勝美赤羽 麻奈吉田 悟永谷 京平和田 亮一
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2012 年 27 巻 1 号 p. 66-72

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抄録
目的:大腸がん検診における大腸3D-CTの有用性を評価するために,大腸内視鏡をゴールドスタンダードにした陽性適中率と受診者の受容性を検討した.
方法:人間ドックで大腸3D-CTを受けた994名を対象とした.便潜血陽性または大腸3D-CTにて5mm以上の隆起性病変が疑われた場合に内視鏡を実施した.大腸3D-CTの陽性適中率とアンケート結果をもとにした受容性を検討した.
結果:サイズ別の病変陽性適中率は,5mm以上の病変では89.6%(43/48),10mm以上で94.4%(17/18)であった. 受容性は「大腸3D-CTの方が楽」と答えた受診者は40.8%(248/608),「両検査の負担は同じくらい」と答えたのは27.1%(165/608),「内視鏡の方が楽」と答えたのは32.1%(195/608)であった.ただし,内視鏡では81.3%で鎮静剤(ペチジン塩酸塩注射液)が使用されていた.次回希望の検査は,「大腸3D-CT」が31.5%(191/607),「どちらでも構わない」が28.2%(171/607),「内視鏡」が40.4%(245/607)であった.
結論:大腸3D-CTの陽性適中率は従来の報告通り十分であった.しかし,大腸3D-CTの受容性は鎮静剤を使用した内視鏡に比べ必ずしも満足いくものではなく,今後は前処置における腸管洗浄剤の減量などさらなる受容性向上に取り組む必要がある.
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© 2012 公益社団法人 日本人間ドック学会
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