抄録
目的:人間ドック受診者を対象に,我々が開発した複数の基本的検査を用いて顕性甲状腺機能異常者を発見する新しい手軽なスクリーニング手法のさらなる精度向上を図る.
方法:2008年7月~2011年12月間のJR仙台病院人間ドック受診者延べ9,816名(男性6,730名,女性3,086名)~重複なしでは4,355名を対象に,従来の基本的検査5項目~アルカリホスファターゼ(ALP),血清クレアチニン(S-Cr),総コレステロール(TC),乳酸脱水素酵素(LDH),赤血球数(RBC)に加え,1)亢進症では心拍数を加えた4項目セットを使用,2)脂質異常症を合併する人間ドック受診者に対する服薬補正,3)基本的検査の時系列変化に見られる特徴を考慮,したスクリーニングを行う.
結果:スクリーニングで疑われた89名の甲状腺ホルモンを測定,11例にホルモン値異常が見られた.新規に発見された11名は全例人間ドック担当医に甲状腺の異常を疑われていなかった.上記1),2),3)のいずれも偽陰性と偽陽性の回避傾向をもたらした.
結論:人間ドック受診者の測定済み基本的検査の複数項目セットを用いて行う新しいスクリーニング手法の有用性が確認された.心拍数と服薬補正を加えた予測モデルおよび時系列変化の特徴把握は本手法の精度向上に大きく貢献することが確認できた.