抄録
目的:脂肪肝は肝臓におけるメタボリックシンドロームの表現型と考えられ,脂肪肝には高血圧を伴っていることが多い.しかし,脂肪肝が高血圧の発症に関与しているかについては不明である.そこで,正常血圧者を対象に脂肪肝の高血圧発症への関与を検討した.
方法:経年的に健診を受けている成人男性で,1999年に高血圧の治療を受けていない正常血圧者1,088名を対象とした.対象者を調査開始時の脂肪肝の有無により無脂肪肝群(874名)と脂肪肝群(214名)の2群に分け,10年後の高血圧発症の頻度を比較した.さらに,この2群を10年後の脂肪肝の有無により計4群に分け,各群における高血圧の発症頻度を比較した.次に,無脂肪肝群を対象に高血圧発症に関与する諸因子(年齢,BMI,飲酒量,クレアチニン,血清脂質など)を調整し,脂肪肝の発生が高血圧発症に関与しているかについて検討した.
結果:脂肪肝群は無脂肪肝群に比べ10年後の高血圧の発症頻度は高かった.4群の比較では,10年後に脂肪肝を認めなかった群に比べ,脂肪肝を認めた群で高血圧の発症頻度が高い傾向がみられた.高血圧の発症に関与している諸因子を調整し,脂肪肝と高血圧との関連をみたところ,脂肪肝は独立した高血圧発症の要因ではなかった.
結論:脂肪肝には高血圧が合併することが多いが,脂肪肝自体は高血圧発症の要因ではなかった.