抄録
目的:経鼻内視鏡は経口内視鏡よりも画像解像度が低下していることが課題とされ,その診断能に関する議論が続いている.今回は当院人間ドックにおける経鼻内視鏡による胃がん発見率の推移を調べ,経鼻内視鏡の診断能を検討してみた.
対象と方法:2004年10月25日の導入から2012年3月31日までに,当院人間ドックで行われた経鼻内視鏡検査のべ18,032件(平均年齢50.2歳,男女比5:3).使用した極細径スコープは導入順にEG-470N5,EG-530N,EG-530N2,EG-530NW,EG-580NW(富士フイルム,東京)である.
結果:胃がん発見率は2004年度と2005年度は0%,2006年度0.20%,2007年度0.26%,2008年度0.27%,2009年度0.14%,2010年度0.10%,2011年度0.23%であり,全体では胃がん発見率0.19%,早期胃がん比率82.0%,偽陰性率は35.3%であった.
結論:当院での経口内視鏡での胃がん発見率は0.22%であり,経鼻内視鏡の0.19%と有意差はなかった.偽陰性35.3%も経口内視鏡での報告(33.3%)と同等で,経鼻・経口内視鏡間で診断能に差はないと考えられた.今後は職域検診対象者のヘリコバクター・ピロリ感染率が下がるため胃がん発見率は徐々に低下することが,また内視鏡逐年検診が進めば偽陰性率が上昇するものと予想される.