抄録
目的:末期腎不全と心血管疾患のリスクである慢性腎臓病(CKD)に対する保健指導のために,eGFRの変動と各因子との関係を9年間の前後でのデータの比較研究で解析した.
方法:対象は2003年に当施設の人間ドック健診を受診し,2012年に再度受診した7,550例(男性/女性:4,074/3,476名,平均年齢48.3/47.8歳)で,2003年,2012年のeGFR,2003年のベースラインのデータを用いて解析した.eGFRの推移はCKD重症度分類のGFR区分を代用した.
結果:eGFRは,男性で-6.4mL/分/1.73 m2,女性で-7.2/min/1.73 m2と有意に低下した.GFR区分の分布では,2012年にG3aが9.6%増加した.eGFRの変化では,2003年の年齢,eGFR(高いほど),尿蛋白1+以上,高血圧合併,糖尿病合併が有意な進展因子で,女性,血清アルブミン値,血色素量,HDL-Cが抑制因子であった.GFR区分が悪化か否かに対する多重ロジステック回帰では,2003年の年齢,eGFR,尿蛋白1+以上,高血圧合併,糖尿病合併,尿酸が悪化進展の,女性,アルブミン値,血色素量が抑制の因子であった.
結論:eGFRの低下,GFR区分の進展に関する因子を解析した結果,加齢以外にも多数の独立した因子がみられた.CKD進展を予防するには,基礎疾患以外に上記因子も考慮した保健指導が重要である.