抄録
我が国では,臍レベルの内臓脂肪面積が100cm2以上であることが,メタボリックシンドロームの診断基準の中核をなしている.一方,臍レベル以外の部位における内臓脂肪面積と内臓脂肪体積,心血管リスク因子との関連に着目した研究も散見されており,本稿ではこれらの研究結果をまとめて報告する.国内外の文献レビューから,内臓脂肪は,人種に限らず男性では上位腰椎レベル,女性では臍レベルで多いことがわかった.内臓脂肪面積と体積との関連では,人種に限らず男性では上位腰椎レベルとの相関が強かったが,女性では一貫した傾向はみられなかった.内臓脂肪面積と心血管リスク因子との関連では,人種,性別に限らず上位腰椎レベルとの相関が強い傾向がみられた.減量後の内臓脂肪面積の変化もやはり上位腰椎レベルで大きく,心血管疾患リスク因子との関連もこの部位で目立っていた.これらの結果は,総じて上位腰椎レベルにおける内臓脂肪面積の重要性を示唆するものであったが,研究デザイン,サンプル数,地域などが限定的であり,さらなる研究が必要と思われた.