人間ドック (Ningen Dock)
Online ISSN : 2186-5027
Print ISSN : 1880-1021
ISSN-L : 1880-1021
原著
人間ドック受診者におけるLDLコレステロール値の季節変動
橋本 佳明二村 梓
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 30 巻 4 号 p. 741-745

詳細
抄録
背景:LDLコレステロール(LDL-C)値には季節変動があり,冬季に上昇することが知られているが,人間ドック受診者での報告はない.
対象:平成24年度の人間ドック受診者のうち,糖尿病,脂質異常,高血圧,肝疾患,悪性腫瘍による通院者を除外した男性8,295名,女性6,802名.
結果:まず男性について検討した.LDL-C異常(140mg/dL以上)率が最低であった7月(25.2%)に対する各月のLDL-C異常率の年齢調整オッズ比は,高い順に1月(オッズ比1.89),3月(1.76),2月(1.67),低い順に7月(1.0),6月(1.05),8月(1.16)であった.夏季(6~8月)/冬季(1~3月)の平均脂質値を交絡因子で調整して比較すると,LDL-C値は122/131mg/dL(p<0.001),HDLコレステロール値は57.1/58.0mg/dL(p<0.05),トリグリセリド値は131/129mg/dL(p=0.441)であった.LDL-C値についてさらに年齢階層別,肥満度別,トリグリセリド値別に検討したが,どの群においても冬季の方が高値であった.女性においては60歳以上群で夏季と冬季のLDL-C値に差を認めなかったが,その他の群は男性とほぼ同様の結果であった.
結論:人間ドック受診者においてもLDL-C値の明らかな季節変動が認められ,冬季に高値であった.この季節変動を考慮にいれて,人間ドックの結果を解釈することが望ましいと考えられた.
著者関連情報
© 2015 公益社団法人 日本人間ドック学会
前の記事 次の記事
feedback
Top