人間ドック (Ningen Dock)
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原著
人間ドック・定期健診受診者における糖尿病新発症と糖尿病寛解に関連する因子の調査 -抗高脂血症内服薬治療は糖尿病の寛解に影響するか?-
石塚 順子阿部 惇
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2015 年 30 巻 4 号 p. 735-740

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抄録
目的:糖尿病新発症と糖尿病寛解に影響する因子を明らかにする.
方法:2008年4月時点で40~64歳であり,2008~2013年度の間で当施設に連続2回以上受診した者を対象とし,JDSG-2013により糖尿病型および糖尿病を判定し,経口血糖降下薬治療者を加え,糖尿病区分とした.経口血糖降下薬治療なく,FPG≦109mg/dL,および同時測定している場合は,かつHbA1c≦5.9を正常域区分とし,正常域区分から糖尿病区分の移行を糖尿病新発症,糖尿病区分から正常域区分への移行を糖尿病寛解とし,翌年から除外した.抗高脂血症内服薬(高脂血症薬),糖尿病家族歴(家族歴),年齢,性別,肥満指数(BMI,糖尿病寛解の分析ではBMIの減少)の糖尿病新発症と糖尿病寛解に及ぼす影響を一般化推定方程式・2値ロジスティックモデル(GEE-L)を用いて縦断分析を行った.
結果:37,981人の正常域区分から糖尿病新発症769人,3,935人の糖尿病区分から糖尿病寛解者421人が観察された.GEE-L分析で高脂血症薬が男性,加齢,家族歴,BMIと同様,糖尿病新発症の危険を高め,糖尿病寛解の分析ではBMIの減少が促進的,家族歴に抑制的影響がみられ,高脂血症薬は糖尿病寛解に対し有意な影響はみられなかった.
結論:高脂血症薬は糖尿病新発症の危険を高めるが,糖尿病寛解に対し有意な影響はなく,家族歴は糖尿病寛解を抑制する可能性がある.糖尿病寛解のためにはBMIの減少が重要である.
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© 2015 公益社団法人 日本人間ドック学会
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