抄録
超高齢社会に突入した我が国において,日本再興戦略の主要なテーマとして「健康寿命の延伸」が掲げられ,健康投資を推進する動きがあるが,一方では保健事業に対する評価の目が厳しくなっている.本総説では特定健診・特定保健指導を例に,効果を狙った保健事業の企画(対象者選定法,保健指導プログラム)・運営(人材確保と教育)・評価の現状と今後の展望を述べる.
特定保健指導では特定健診データとレセプトデータを利用した分析により,保健指導参加群の検査値の方が非参加群と比べて5年間にわたり良好であり,生活習慣病関連医療費が有意に低いことが示された.保健指導の効果を高めるためには,わかりやすく標準化したプログラムと保健指導者の資質向上が重要である.
平成30年度からの改革では,医療保険者に対しデータヘルス計画の本格実施,特定保健指導以外の保健事業も評価するインセンティブ制度が検討されており,PDCAサイクルを回した保健事業の展開が求められる.