抄録
目的:ABC分類を用いた胃がんリスク検診においては,Helicobacter pylori(Hp)の既感染および現感染による“偽A群”が問題となっている.本稿では,我々の施設で新規に導入した胃がんリスク検診1年間の集計から,A群の要精査例選別の現状と実態,多様性の報告されるD群の特徴を明らかにすることを目的とする.
方法:2014年4月1日から2015年3月31日に,当施設にて生活習慣病健診ならびに人間ドック健診に胃がんリスク検診を追加した6,236例を対象とした.B,C群は除菌を前提に,D群は感染評価・精査を要すると考え,全例診療機関紹介とした.A群のHp現感染疑診例も紹介精査とした.2015年12月31日までの経過観察情報を集計・分析した.
結果:ABCD各群の比率は各々73.6%,15.7%,9.2%,1.5%であった.A群の7.4%,D群の58.9%がHp抗体陰性高値(3.0≦Hp IgG<10.0 U/mL)に該当した.A群精査例では,38.5%がHp陽性例と判明,陰性例との比較で,ペプシノゲン(PG)Ⅰ・Ⅱ・Ⅰ/Ⅱ比に有意差を認めた.D群は,現感染(38.0%),未感染(28.2%),既感染またはHp非関連の萎縮性胃炎(21.1%)等で構成されていた.
結論:若年受診者比率の高い当施設では,潜在的Hp感染者を早期に除菌治療へ誘導するためHp感染状態(未感染・現感染・既感染)の慎重な判定が必要である.詳細な病歴聴取と該当するABCD群のみならずHp抗体価・PG値,画像読影の総合判断と,継続的視点に基づく胃がんリスク管理の重要性が確認された.