抄録
目的:マンモグラフィ(Mammography:以下,MMG)・乳房超音波(Ultrasonographic Examination:以下,US)併用検診の精度向上のため,現在,独立判定方式から総合判定方式へと標準化が進められている.今回,当施設での総合判定の現状を,MMG上の局所的非対称性陰影(focal asymmetric density:以下,FAD)および腫瘤所見について検討し,総合判定の有用性を明らかにすることを目的とした .
方法:2013年1月から2014年6月までにMMG・US併用検診を受診した延べ5,519名のFAD所見,腫瘤所見について,MMG独立判定と総合判定との比較を行った.
結果:FAD所見:MMG独立判定での要精検者数(率)は,81例(1.5%)であった.一方,総合判定での要精検者数(率)は,USで精査不要と判断できた35例(同部位にカテゴリー2の良性病変描出12例,正常乳腺23例)が除かれ,46例(0.8%)に減少した.撮影方向別の比較では,減少率に有意差は認めなかった(p=0.649).腫瘤所見:MMG独立判定での要精検者数(率)は73例(1.3%)であった.総合判定での要精検者数(率)は,USで良性病変が描出された29例が除かれ,44例(0.8%)に減少した.撮影方向別の比較では,一方向より二方向撮影の方が要精検者数が大きく減少した(p=0.029).
結論:総合判定は,乳腺の重なりか腫瘤かの判定,良性病変の拾い上げ防止に有用であり,要精検率の低下につながった.