人間ドック (Ningen Dock)
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原著
局所的非対称性陰影および腫瘤所見における総合判定の有用性について
宇都 千陽吉村 理江森 寿治深水 康吉長野 由美谷山 恵里奈髙木 理恵東條 道徳橋本 俊彦那須 繁
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2016 年 31 巻 3 号 p. 445-452

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抄録
目的:マンモグラフィ(Mammography:以下,MMG)・乳房超音波(Ultrasonographic Examination:以下,US)併用検診の精度向上のため,現在,独立判定方式から総合判定方式へと標準化が進められている.今回,当施設での総合判定の現状を,MMG上の局所的非対称性陰影(focal asymmetric density:以下,FAD)および腫瘤所見について検討し,総合判定の有用性を明らかにすることを目的とした .
方法:2013年1月から2014年6月までにMMG・US併用検診を受診した延べ5,519名のFAD所見,腫瘤所見について,MMG独立判定と総合判定との比較を行った.
結果:FAD所見:MMG独立判定での要精検者数(率)は,81例(1.5%)であった.一方,総合判定での要精検者数(率)は,USで精査不要と判断できた35例(同部位にカテゴリー2の良性病変描出12例,正常乳腺23例)が除かれ,46例(0.8%)に減少した.撮影方向別の比較では,減少率に有意差は認めなかった(p=0.649).腫瘤所見:MMG独立判定での要精検者数(率)は73例(1.3%)であった.総合判定での要精検者数(率)は,USで良性病変が描出された29例が除かれ,44例(0.8%)に減少した.撮影方向別の比較では,一方向より二方向撮影の方が要精検者数が大きく減少した(p=0.029).
結論:総合判定は,乳腺の重なりか腫瘤かの判定,良性病変の拾い上げ防止に有用であり,要精検率の低下につながった.
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© 2016 公益社団法人 日本人間ドック学会
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