抄録
目的:人間ドック受診者におけるeGFRとそれに関連する因子の変動を調べ,受診者に対する慢性腎臓病(CKD)予防に活用する.
方法:人間ドック受診者を,事後指導を行っている人間ドックコース受診者(人間ドック受診者)と,協会けんぽの「生活習慣病予防健診」受診者および労働安全衛生法に基づく健康診断受診者(協会・健診受診者)の2群に分け,eGFRおよび関連する因子の変動を比較した.eGFRの変動に関与するその他の因子についても男女別に分析を行った.eGFR<60mL/分/1.73m2の者については,さらにその動向と悪化因子について分析した.
結果:30歳代の人間ドックコース受診者では,eGFRが低い傾向にあった.肥満(BMI≧25kg/m2),高血圧(SBP≧140mmHgまたはDBP≧90mmHg),FPG高値者(≧100mg/dL),喫煙者の割合は人間ドックコース受診者で低い傾向がみられた.eGFRの変動と血清尿酸値の変動には弱い負の相関が認められた.対象者では,尿糖または尿蛋白陽性や,高血圧,脂質異常症,高尿酸血症,腎疾患治療歴はeGFRのさらなる悪化因子とはなっていないと考えた.
結論:eGFRは生活習慣の改善によって変動しにくいが,その危険因子であるBMI,喫煙などには変動がみられ,これらは生活指導によって改善可能であり,こうした因子の数値をCKD対策の当面の指標として健診の事後指導に生かしていくことが重要と考えた.