人間ドック (Ningen Dock)
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原著
健診受診者におけるBMI低値例の臨床的背景
-BMI平均値例との比較検討から-
石川 和克庵原 立子角掛 篤子吉田 由貴金田一 万里子藤舘 道代狩野 敦
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キーワード: BMI, 痩せ, 臨床背景, 健康障害
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2019 年 34 巻 1 号 p. 27-34

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抄録

目的:当センター受診者5,013例(男性3,372例,女性1,641例)を対象に,BMI 18.5未満例の臨床背景と,BMI平均値例との比較検討を行った.

方法:平均値例(A群)のBMIを男性は23.8~24.0(n=130),女性は22.0~22.9(n=183),BMI 18.5未満例を,B群:18.0~18.4(男性n=22,女性n=73),C群:17.0~17.9(男性n=40,女性n=85),D群17.0>(男性n=10,女性n=45)に分類し検討した.

結果:BMI 18.5未満例は男性2.1%,女性12.4%であった.TGは女性でA群がB,C,D群に比し有意に高値,かつD群はC群に比し有意に低値であった.クレアチニンは男性でA群がC群に比し有意に高値であった.HDL-C,LDL-Cは男女ともそれぞれA群が,B,C,D群に比し有意に低値,および高値であった.血清アルブミンは女性でA群に比しC群が有意に高値であった.男性のC,D群は喫煙が高率の傾向で,血圧値との関連が示唆された.女性のBMI平均値例は降圧薬,脂質異常症薬の服用頻度が有意に高率で,かつ子宮筋腫の既往も有意に高率であった.脂肪肝は男女ともBMI 18.5未満例は有意に低率であった.

結論:今回のほぼ健常者における検討では,男女ともBMI 18.5未満の痩せの例と明らかな健康障害との関連は認められず,痩せは主に男性では骨格筋の減少を,女性では皮下脂肪の減少を反映していると考えられた.

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© 2019 公益社団法人 日本人間ドック学会
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