人間ドック (Ningen Dock)
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原著
ものわすれドックと予防エクササイズ事業における受診者の特性
須江 慶太平林 一小松 泰喜丸山 陽一勝山 澄江富岡 あき子大澤 道彦大塚 貴史佐藤 剛章斎藤 宗治
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2019 年 34 巻 1 号 p. 35-41

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抄録

目的:鹿教湯病院では認知症予防に特化した「ものわすれドック」を開設した.認知症予防の観点に立った人間ドックはまれであり,過去に報告もない.本研究ではものわすれドック受診者の脳の状態や,運動習慣などの有無,心身機能の特性を明らかにして,今後の人間ドックの運動・生活指導の一助にすることを目的とした.

方法:対象はものわすれドックを受診した15名である.受診者のMagnet Resonance Imaging(以下,MRI)やVoxel-based Specific Regional analysis systems for Alzheimer’s Disease(VSRAD)の画像所見をもとにした診査結果や,運動習慣や趣味活動の有無,そして心身機能の検査結果を記述的にまとめた.その後,まとめたデータを先行研究で示された認知症関連のデータと比較に基づき定量評価を行った.

結果:MRIに基づく診査結果で明らかな異常を指摘された受診者は1名いたものの,それ以外の受診者の画像所見では明らかな異常はなかった.心身機能評価結果は先行研究で示された値と比較し良好な傾向にあり,日頃からの運動習慣,趣味活動を持つ割合が高かった.

結論:ものわすれドック受診者の心身機能は良好な状態にあり,健康意識も高い傾向にあった.ものわすれドックでは,現状の心身機能の状態を客観的な数値をもとにフィードバックし,活動的な生活が維持できるように動機付けを行うことが指導のポイントになる可能性が示唆された.

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© 2019 公益社団法人 日本人間ドック学会
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