人間ドック (Ningen Dock)
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原著
北海道の全市における特定保健指導の運動指導の現状と今後の課題
和田 千尋笠原 敏史阿部 はるか平野 美千代萬井 太規石田 知也江 林京
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2019 年 34 巻 4 号 p. 581-589

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抄録

目的:北海道で行われている特定保健指導の運動指導の現状について明らかにし,他職種の関わりついて明らかにする.

方法:北海道の全市役所と委託を受けた施設の特定保健指導を担当する部署へアンケート用紙を郵送にて送付し,郵送式またはインターネットによる回答を依頼した.

結果:回答率79.4%,有効回答数は143名であった.実務者は保健師(77.6%)と管理栄養師(21.0%)の2つの職種で98%を占めた.全体の指導時間に占める運動指導の時間は少なく,「食習慣」を最も重要視していた.理学療法士による運動指導が必要と回答した人は,初回支援47.6%,継続支援62.9%であった.理学療法士への相談内容として,「疾患を持つ方への運動指導」と「支援対象者に合った適切な運動指導」が多かった.北海道の冬期の運動指導の困難さについて,「活動量の低下・運動習慣の継続困難」と「冬道での転倒リスクの増大,ヒートショックの恐れ」を挙げていた.

結論:北海道での特定保健指導は保健師や管理栄養士により行われており,運動習慣への指導は他の生活習慣に比べて優先されていなかった.実務者は,膝や腰に痛みを抱えるなど,すでに運動障害を抱える支援対象者に合わせた運動指導やリスク管理に困難さを抱えており,運動指導への理学療法士の参加の必要性が示唆された.北海道の地域特性は,他の積雪寒冷地域と同様に,冬期の活動量の維持が課題であることが明らかとなった.

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© 2019 公益社団法人 日本人間ドック学会
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