2020 年 35 巻 1 号 p. 24-32
目的:少子高齢化による労働力不足が深刻化するなかで,外国人労働者の活躍が期待されている.在留外国人は全国的に増加しており,愛媛県も例外ではない.当センター受診の外国人も増加しており,現在の受診状況を把握することにより今後の課題について検討を行った.
方法:2017年度までの3年間に当センターで健康診断を受診した外国人を対象に国籍,性別,年齢,健診結果などを集計した.また,2018年度に当センターを受診した外国人が所属する事業所と愛媛県内の技能実習監理団体に健診および病院受診にかかわる問題点についてアンケートや訪問調査を行った.
結果:外国人健診受診者は年々増加しており,2017年度の受診者は1,781名,健診受診者の1.3%を占めた.外国人受診者は東・東南アジアが93.8%,製造業従事者が56.8%を占めた.事業所アンケート調査では,今後,63.5%の事業所が外国人の増員を予定しており,問診票や検査方法,健診結果での各言語対応の要望があった.雇入時健診ではLJP(Limited Japanese Proficiency)かつ英語も話せない受診者も多かった.健診受診時は多言語対応翻訳機や平易な日本語の対応で実施できたが,所見があった場合には通訳が必要であった.
結論:今後,ますます増加する外国人に対応するために,問診,健診,健診結果,保健指導も含め日本人と同等のサービスを提供するためには何が必要か,医療機関とどのような連携をとっていくか,早急な対策が必要である.