人間ドック (Ningen Dock)
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原著
Hybrid IRによる低線量胸部CT画像のストリークアーチファクト低減効果
―極値統計Gumbel法による定量評価―
田内 慎一林 久仁彦大芦 研輔道家 充
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2020 年 35 巻 1 号 p. 38-46

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抄録

目的:低線量胸部CT画像の肺野内ストリークアーチファクト(streak artifact:以下SAと記載)に対してGumbel法を用いた定量評価を試み,Hybrid IR(Iterative Reconstruction)によるSA低減効果の特性について明らかにする.

方法:16DAS CT装置Alexion(キヤノンメディカルシステムズ,栃木)を使用し,胸部人体ファントムの肺上葉部を撮影(管電流:10~50mA)した.評価対象画像再構成法は,オリジナル画像:ORG,SA低減従来法:Boost3D,Hybrid IR: AIDR 3D(プリセット強度:4種)の計6種とし,各評価画像を取得した.そして各画像でSAを含む肺野内にROI(region of interest)を設定し,得られたGumbel plotの相関係数から,肺野内SAの定量評価にGumbel法が適用可能か検証した.また各画像の位置パラメータからHybrid IRによるSA低減効果を検証した.

結果:全評価画像のGumbel plotの相関係数rは0.963≦r≦0.997となり,r≒1であることからGumbel性が認められた.またHybrid IRは従来法と比べ位置パラメータが低く,その値も管電流に依存せず各プリセット強度でほぼ一定であった.

結論:低線量胸部CT画像の肺野内SAの定量評価にGumbel法を適用することが可能であった.またHybrid IRは従来法と比べSAをより多く低減でき,低線量であるほどさらに効果的であることが示された.

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© 2020 公益社団法人 日本人間ドック学会
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