人間ドック (Ningen Dock)
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原著
人間ドック・特定健診当日の医師面接による階層化,保健指導指示箋発行に基づく特定保健指導と生活改善指導の導入
―当日初回面接実施率100%を目指して―
小林 裕美丸岡 秀範米田 恵李田添 貴子城村 宏美瀧野 雅俊須藤 篤志王 紅兵髙瀬 聖子末田 南武田 三昭山上 孝司
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2020 年 35 巻 2 号 p. 145-154

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抄録

目的:新施設の開設にあたり,人間ドック・特定健診当日の保健指導の初回面接実施率100%を目指して,従来の保健指導体制を見直し,新しい運用方法を導入した.

方法:健診部門と医師面接・保健指導部門のフロアを分け,健診結果説明医が当日の医師面接で特定保健指導対象者を階層化し,保健指導指示箋を発行する体制を確立した.人間ドック受診者で,特定保健指導の対象外となっても,医師が必要性を認めた受診者に対しては,生活改善を目的とした生活改善指導を実施した.受診者全員の満足度をアンケート調査で評価した.

結果:2018年7月~2019年3月の特定健診受診者は1,064名で,対象者235名中,214名(91.1%)に特定保健指導の当日初回面接を実施した.人間ドック受診者は1,013名,簡易ドック受診者は82名で,保健指導対象者1,003名のすべてに当日の保健指導(特定保健指導80名,生活改善指導923名)を実施した.特定保健指導の終了率は72.1%で,積極的支援56.3%,動機付け支援95.8%だった.アンケート調査では受診者の満足度は高く,生活改善指導の対象者で,事前問診票で保健指導を希望しなかった群を除けば,生活改善に取り組む意欲も高かった.

結論:人間ドック・特定健診当日の医師面接による対象者の階層化,保健指導指示箋の発行により特定保健指導の当日初回面接実施率は向上した.人間ドックで特定保健指導対象外の受診者に対する生活改善指導は,将来的な特定保健指導該当者の減少につながることが期待された.

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© 2020 公益社団法人 日本人間ドック学会
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