2020 年 35 巻 2 号 p. 164-169
目的:我々は人間ドック眼底検査の判定の際,緑内障に特徴的な所見として,視神経乳頭陥凹拡大および視神経乳頭周囲出血を導入した.所見導入後の新規緑内障発見結果や所見の使用状況を調べ,その有用性について検討した.
方法:緑内障に特徴的な所見導入前の2013年度と所見導入後の2014年度から2017年度までの緑内障発見結果と所見使用状況を比較した.対象は,2013年度から2017年度まで人間ドックにおいて眼底検査を受診した者それぞれ31,847名・32,215名・31,366名・30,938名・30,910名のうち,要精査となった症例それぞれ305人・439人・381人・400人・441人について健診管理台帳を検討した.視神経乳頭陥凹拡大と視神経乳頭周囲出血の2つの所見と緑内障診断との関連について,多重ロジスティック回帰分析(年齢,性で調整)を用いて検討した.
結果:緑内障に特徴的な所見導入前の2013年度に比べ,所見導入後の2014年度以降は各年とも新規の緑内障発見率は増加傾向にあった.緑内障に特徴的な所見導入後での緑内障正診率は46.5%,その他の所見での正診率は8.5%であった.緑内障に特徴的な所見の導入後,視神経乳頭陥凹拡大と視神経乳頭周囲出血の使用頻度はそれぞれ29.7%・70.3%であり,それぞれの正診率は55.3%・57.8%と両者に差はなかった.多重ロジスティック回帰分析の結果,視神経乳頭陥凹拡大と緑内障診断率との有意な関連および視神経乳頭周囲出血と緑内障診断率との有意な関連を示唆する所見を得た.
結論:緑内障に特徴的な所見(視神経乳頭陥凹拡大と視神経乳頭周囲出血)の導入は,新規の緑内障発見に寄与していた.