人間ドック (Ningen Dock)
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原著
高ストレス該当者にみられる生活習慣の特徴
西山 里枝長谷部 靖子羽田野 今日子渡邉 早苗八木 完
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2020 年 35 巻 2 号 p. 185-193

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抄録

目的:近年,仕事や職業生活に関することで,強いストレスを感じている労働者の割合は半数を超えており,産業医・産業保健機能の強化が図られている.今回,ストレスと生活習慣の関係を調査し,保健指導時に心身両面での総合的な健康支援を行うことを目的とし検討を行った.

方法:2017年度に当センターで健康診断とストレスチェックを受検した19,181名(47.3±11.9歳,男性10,074名,女性9,107名)を対象とした.高ストレス該当者と標準的な質問票の生活習慣項目との関係について分析を行った.

結果:高ストレス該当者割合は13.0%であり,男性14.2%,女性11.8%と男性が高かった(p<0.001).男性は30歳代(17.6%),女性は29歳以下(18.9%)の該当者割合が最も高く年齢が上がるにつれて減少した.生活習慣項目との関係では,高ストレス該当者では「睡眠で休養が十分とれている」の回答割合が非常に低く,男女ともすべての年代で有意差がみられた(p<0.001).また,高ストレス該当者割合の高い年代では,男女ともに食生活や体重変動などの多くの質問項目で有意差がみられ,特に女性では高ストレス該当者の喫煙割合が有意に高かった(29歳以下p<0.01,30歳代,40歳代p<0.001,50歳代p<0.05).

結論:高ストレス該当者の多くに生活習慣の乱れが認められ,ストレスと生活習慣が互いに影響し合っていることが示唆された.背景にあるストレスに配慮した生活習慣の指導を行うことにより保健指導の内容が充実し,メンタルヘルス支援にも寄与できると考えられた.

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© 2020 公益社団法人 日本人間ドック学会
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