2020 年 35 巻 2 号 p. 177-184
目的:協会けんぽ特定保健指導対象者の基本属性と当日指導未利用の理由との関連を明らかにする.
方法:対象は,当院で特定健康診査を受診した協会けんぽ被保険者のうち,特定保健指導対象者で当日指導を希望しない者とした.調査方法は無記名自記式質問紙調査とし,分析は各項目の記述統計量を算出し,対象者の基本属性と未利用の理由との関連を分析した.
結果:対象者の性別は男性44名(83.0%),女性9名(17.0%)であった.年齢は40歳代が25名(47.2%)と最も多く,職種はサービス業が17名(32.1%)と最も多かった.未利用の理由は,「この後すぐ仕事に戻らなければならない」29名(54.7%),「この後仕事には戻らないが時間がとれない」13名(24.5%),「必要なら自分でやる」10名(18.9%)等であった.未利用の理由と関連があったのは,当日指導が受けられることを知っていた群と「必要なら自分でやる」,勤務形態では夜勤あり群と「すでに自分で生活習慣の改善に取り組んでいる」に関連がみられた.
結論:未利用の理由は時間的な理由のほか,干渉されたくない気持ちや健康よりも優先するものがあると推測された.対象者の健康観を受け止め,適切な情報提供を行うとともに,従業員が特定保健指導を利用しやすい職場環境となるよう,協会けんぽと連携し事業主に働きかけていくことが重要である.