人間ドック (Ningen Dock)
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原著
超音波併用乳がん検診の有用性についての検討
四倉 淑枝佐藤 梓井上 真理子井上 淑子山口 麻紀子田村 宜子川端 英孝陣内 由紀岩男 暁子荒瀬 康司
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2020 年 35 巻 4 号 p. 570-577

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抄録

目的:マンモグラフィ(mammography: MG)に超音波検査(ultrasonography: US)を併用し総合判定を行う乳がん検診が普及しつつある.この検診方法で発見された乳がんのうち,MGまたはUSの一方のみで検出された症例を分析することにより併用検診の有用性と,MG,USの特徴を明らかにすることを目的とした.

方法:2008年5月から2019年4月までの11年間に,当施設では27,449名にMGとUS併用による総合判定で乳がん検診を実施し,117例の乳がんが発見された.このうち,MG非検出でUSのみ検出の28例とMGのみ検出でUS非検出の19例の画像所見を分析した.

結果:MGとUS併用により発見乳がんはMG単独に比べ1.3倍に増加した.USのみ検出の症例は,高濃度乳房が78.6%を占め,高濃度乳房では腫瘍径4~20mmの乳がんを,非高濃度乳房では腫瘍径4.5~8mmの乳がんを検出できていた.USは1~2mmの軽微な経時的変化を捉えており,早期浸潤癌の検出に有用であった.MGのみ検出の症例は,所見別では石灰化が63.2%で最も多く,部位別では乳腺辺縁・乳頭下部が52.6%を占めていた.

結論:USは高濃度乳房における乳がん,特に早期浸潤癌の検出に有用であり,MGはUSで描出困難な乳腺辺縁部の乳がんの検出が可能であった.MGとUS併用の総合判定による乳がん検診は,両者の特性を生かし補完することが可能で,効率的な乳がん検診であると考えられた.

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© 2020 公益社団法人 日本人間ドック学会
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