2020 年 35 巻 4 号 p. 586-594
目的:日本人のCOPD有病率は,喫煙経験者のほうが非喫煙者よりも高く,高齢になるほど高くなる傾向があることが分かっている.こうした有病率の高い層へ,住民肺がん検診において問診票を併用することで,潜在的に存在するCOPD患者を拾い上げ治療まで持ち込むことができるか,また,その有用性や効果について検討した.
方法:肺がん集団検診における喀痰細胞診受診者(原則50歳以上かつ喫煙指数600以上)730名にCOPD問診票を配布.記載のあった問診票に対してmodified British Medical Research Council(mMRC)Gradeや自覚症状をもとにCOPD評価をした.これより要精密検査者を抽出し,当施設またはかかりつけ医にての精密検査を促した.精密検査実施とともに必要に応じ吸入薬による治療・禁煙指導を行い,2週間後の再受診で状況を確認.地域医療機関へと紹介した.
結果:喀痰細胞診受診者730名中,問診票に記載があったのは306名であった.これに対し問診票によるCOPD評価を行い,64名を要精密検査とし,このうち精密検査を受けたのは37名であった.精密検査における肺機能検査によりCOPD確定となったのは13名,境界例を含めると17名であった.当施設にて治療を行った11名中6名において治療前後のCOPD assessment test(CAT)問診票で3点以上の症状軽減があった.現在喫煙ありの8名に禁煙指導を行い,3名が禁煙,3名が減煙した.治療継続が必要と考えられる9名は地域医療機関へ紹介し終了とした.
結論:肺がん集団検診において,問診票を利用し730名中17名のCOPD確定13例,境界4例を拾い上げることができた.精密検査受診者37名に対する陽性反応的中度は35.1%であり,さらにQOLの改善例,禁煙,減煙の成功例があった.