2020 年 35 巻 4 号 p. 595-602
目的:高尿酸血症は慢性腎臓病(CKD)のリスク因子である.観察開始時の尿酸値と観察期間中の尿酸の変化量は独立した腎機能低下のリスクとの報告もあるが,平均尿酸値(mean uric acid: MUA)で長期間観察した研究は少ない.今回,MUAとCKDについて10年間の観察で男女別に検討した.
方法:2008年4月1日から2011年3月31日までに高岡健康管理センターを一日ドックとして受診し,2019年3月28日まで再診し,糖尿病患者,高血圧患者,eGFR 60mL/分/1.73m2未満の者を除外した男性1,429名,女性1,652名を対象とした.観察開始時尿酸値または観察期間中の平均尿酸値で,A群(男性5.9mg/dL以下,女性4.4mg/dL以下),B群(男性6.0~6.9mg/dL,女性4.5~5.4mg/dL),C群(男性7.0~7.9mg/dL,女性5.5~6.4mg/dL),D群(男性8.0mg/dL以上,女性6.5mg/dL以上)の4群に分けて検討した.観察期間中にeGFR 60mL/分/1.73m2未満となった場合をCKD発症とした.
結果:平均観察期間は6.7年であった.Cox比例ハザードモデルでは,年齢,BMI,収縮期血圧,拡張期血圧,γ-GTP,TG,飲酒量,eGFR,高尿酸血症治療の有無で調整した.平均尿酸値での検討では,CKD発症ハザード比は男性でA群1,B群1.34(p=0.07),C群1.64(p<0.04),D群2.32(p<0.04)であった.女性では,A群1,B群1.22(p<0.19),C群2.18(p<0.001),D群11.20(p<0.001)であった.
結論:観察開始時の尿酸値より平均尿酸値を使用した方が長期のCKD発症を検討するには有用と思われた.また,女性は男性より尿酸の影響を強く受けやすいと考えられた.