2021 年 36 巻 4 号 p. 532-538
目的:上部消化管X線検査におけるブチルスコポラミン(Butylscopolamine: BS)投与が描出能を高めるかどうかを明らかにする.
方法:2015年から2019年に行われた上部消化管X線検査を対象とした.蠕動に関与するバイアスを除くため,糖尿病,パーキンソン病,胃切除後,抗コリン作用薬内服,腸管運動促進薬内服者は除外した.交絡因子を調整するため年齢,性別,BMI,身長,撮影者,慢性胃炎所見有無で調整したBS投与,非投与での傾向スコアを作成,傾向スコアマッチングを行いBS投与群とBS非投与群を設定した.描出評価は,部位を15部位に分け拡張不良での描出不良部位があれば各部位で1点,腸管の重なりで描出不良部位があればその症例の前庭部にあたる広さの重なりを1点とし,あわせて描出不良スコアとした.評価は医師と技師の計2名で行い,描出不良スコア4以上の割合,スコア値を比較した.
結果:8,679件のなかから,BS投与群233名と非投与群235名が分析対象となった.描出不良スコア4以上の割合はBS投与群11.6%(27/233),非投与群20.4%(48/235)であり,有意にBS投与群で少なかった(p=0.011).描出不良スコアの中央値はBS投与群2.12,非投与群2.88であり有意にBS投与群で少なかった(p<0.001).
結論:上部消化管X線検査において,BS投与は描出を良好にすると考えられた.