人間ドック (Ningen Dock)
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症例報告
人間ドックの受診と並行して診療科で長期にフォローアップされ,経過中に早期に診断された膵がんの1例
近藤 真喜子西井 裕関 亜矢子草間 由紀子関 仁誌
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2021 年 36 巻 4 号 p. 575-581

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抄録

 膵がんは早期発見が難しいがんである.毎年人間ドックを受けていても,進行した状態で発見されることがまれではない.人間ドックで異常が指摘されてから9年を経て,早期に膵がんを診断し得た1例を経験した.症例は64歳男性.2004年から毎年人間ドックを受診しており,2011年の人間ドックでCA19-9が上昇していたため,腹部造影CTの検査を施行し,膵管内乳頭粘液性腫瘍(intraductal papillary mucinous neoplasm of the pancreas;以下膵IPMN)が発見された.人間ドックと並行して消化器内科でもフォローが継続され,2020年3月の膵臓MRIで膵頭部主膵管の不整な狭小化があり超音波内視鏡(endoscopic ultrasonography: EUS)および内視鏡的逆行性胆道膵管造影(endoscopic retrograde cholangiopancreatography: ERCP)を施行し,採取した膵液と膵管擦過細胞診からがん細胞が同定され,膵頭部がんT1N0M0 Stage IAと診断された.術前化学療法を受けたのちに,2020年6月15日に手術が施行され,切除標本からIPMN由来膵がんと診断された.診断のきっかけになったMRIの直前に行われた2020年1月の人間ドックの腹部エコー検査では膵臓は描出されていなかった.人間ドックで膵がんの早期発見率を高めるためには,腹部エコーで膵臓がどこまでみえたかを健診医が把握し,十分にみえていない受診者で,膵がん家族歴や膵嚢胞などのリスクファクターのある方には,必要に応じてMRIを含めた膵臓検診を人間ドックのオプションとして奨めることや,腹部エコーの再検査を奨めることなどもよい方法であると考える.

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© 2021 公益社団法人 日本人間ドック学会
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