2021 年 36 巻 4 号 p. 582-589
目的:2019年12月頃から新型コロナウイルスによる感染症(COVID-19)の世界的流行がみられ,日本でも2020年4月16日には緊急事態宣言が全国に施行され,我々は自粛生活を余儀なくされ,コロナ禍による国民の健康状態への悪影響も懸念された.COVID-19流行による健診結果の変化について,過去の健診結果と比較し検討する.
方法:2017年から2020年までの4年間毎年3月から5月の職域健診を受けた継続受診者16,581人(男性12,445人,女性4,136人)の検査成績および特定健康診査質問票における生活習慣の変化を,2017年と2018年の差(Δ18-17),2018年と2019年の差(Δ19-18),2019年と2020年の差(Δ20-19)を用いて男女別に比較検討した.
結果:男女共通でΔ18-17とΔ19-18に比べてΔ20-19が有意に増加し,かつΔ18-17とΔ19-18間に有意差がなかった検査値は,収縮期血圧,空腹時中性脂肪であった.2020年における特徴的な生活習慣の変化としては,睡眠時間が十分にとれている人が他の3年間に比べて有意に増加していた.
結論:コロナ禍の影響による睡眠の増加が特徴的であり,収縮期血圧と空腹時中性脂肪において有意な上昇が認められたことから,疫病流行下においても,健診を継続的に受けて健康状態を調べることは重要であると思われた.