人間ドック (Ningen Dock)
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原著
特定保健指導における持ち帰りアイテムの効果
―小さい茶碗―
戸﨑 小百合日置 敦巳照井 佳子木村 信子佐伯 正人森 千晶前川 路子林 慎
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2022 年 37 巻 1 号 p. 20-27

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抄録

目的:特定保健指導の初回面接時に,自宅での改善意識継続と行動変容を目的として,小さい茶碗を持ち帰りアイテムとして配付し,効果について検討する.

方法:初回面接時に,米飯の摂取頻度や摂取量を確認し,オリジナルの食事バランスガイドに沿って米飯の摂取量を見直す提案を行った.希望者に小さい茶碗または健康情報をプリントしたトイレットペーパーのどちらかを選択させ持ち帰らせた.指導終了した受講者に対し,米飯の量および体重の変化について,評価のための調査を行った.

結果:質問票の返信があった分析対象者154名(回収率52.6%)のうち,茶碗選択者の割合は約2/3であった.対象者の多くで,家で使用していた茶碗が大きく,小さい茶碗に変更することで1食あたりの米飯の摂取量が減少した.体重の推移をみると,茶碗選択者はトイレットペーパー選択者より,特定保健指導の期間で体重減少した者の割合が高かった.しかし1年後には2群間で有意差は認められなかった.茶碗選択者では,小さい茶碗を有効だと思っている者が多く,持ち帰った茶碗を今後も使用し続けると答えた者が多かった.

結論:特定保健指導の持ち帰りアイテムとして配付した小さい茶碗は,実際に受講者の行動変容につなげやすく,過剰に摂取しがちな米飯の減量に有用であるが,減量維持のためには継続支援も必要である.

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© 2022 公益社団法人 日本人間ドック学会
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