人間ドック (Ningen Dock)
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原著
新型コロナウイルス感染防護策としての上部消化管内視鏡検査用マスクの試作と実用化
新保 泉河田 美和内田 裕美藤井 清孝奥田 桂子仲野 敏彦瀧澤 弘隆湯口 恭利田中 学太田 匡則長尾 啓一
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2022 年 37 巻 1 号 p. 28-33

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抄録

目的:上部消化管内視鏡検査時のエアロゾル飛散低減のために内視鏡検査用マスク(以下,本マスク)を試作し,効果の検証を行ったうえ,受診者の受容の可否についてアンケートにて調査した.

方法・結果:内視鏡検査用マスクの試作:本マスクは2層の不織布の内側に吸水シートを貼った3層構造で,コーヒーフィルター様の立体形状とした.内視鏡挿入孔は直径15mmとした.可視化した咳嗽の拡散比較実験:本マスクの効果検証のため,咳嗽時の呼気を可視化し拡散比較実験を行った.マネキンモデルで咳嗽のミストを再現し,マスクなしと本マスク使用時でミストの飛距離と最大速度を比較した.その結果,本マスク装着によりミストの飛距離は1/3に,最大速度は1/2に減少することが明らかになった.受診者アンケート調査:本マスクを装着して内視鏡検査を行った204名の受診者に対し,本マスクに対する抵抗感・不快感・安心感について「ある・ややある・どちらでもない・あまりない・ない」の5段階評価のアンケート調査を行った.その結果,本マスクに対する抵抗感が「ない・あまりない」が93.1%,不快感が「ない・あまりない」が95.6%,安心感が「ある・ややある」が57.4%であり,受診者の本マスクに対する受容も良好なことが判明した.

結論:内視鏡検査用マスクはエアロゾル飛散低減の有効な手段の1つであり,安心安全な内視鏡検査に寄与すると思われた.

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© 2022 公益社団法人 日本人間ドック学会
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