2023 年 38 巻 3 号 p. 496-501
慢性腎臓病(CKD)は早期の診断と治療が重要である.早期のCKD患者への介入を目的に,当施設の人間ドックにおいて生活習慣病に伴う軽度の腎機能異常が指摘された受診者に対し,医師の指示のもとで生活指導,栄養指導および健康運動指導士による個別の運動指導を行った.2020年11月から2021年8月までに48例に運動指導を行った.年齢は64.9±7.8歳で,男性21例,女性27例,推算糸球体濾過量(eGFR)は55.8±6.8mL/min/1.73m2であった.25例(52%)は運動習慣がなかった.関節に過剰な負担のかかる運動をしている例が4例(8%)にみられたため,適切な運動を指導した.運動指導も栄養指導と同様に個々の患者の背景や生活様式に応じた指導が必要であると考える.早期のCKD患者において健康運動指導士による個別運動指導は,運動開始の契機または運動方法の見直しとしての意義があると考える.