人間ドック (Ningen Dock)
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臨床経験(活動報告)
ビタミンD健診の初期成績
折口 秀樹生山 聡美
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2023 年 38 巻 3 号 p. 490-495

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抄録

目的:当健診施設での血清25(OH)D濃度測定によるビタミンD健診の初期成績について報告する.

方法:2020年10月から2022年5月までのビタミンD健診受診者87名(男性17名,女性70名)の血清25(OH)D濃度と基礎属性(年齢,性別,%YAM,BMI,eGFR)の関連を検討した.

結果:平均年齢59±10歳が対象で,血清25(OH)D濃度は30ng/mL以上の充足群が6名(6.9%),20ng/mL以上30ng/mL未満の不足群が15名(17.2%),10ng/mL以上20ng/mL未満の欠乏群が50名(57.5%),10ng/mL未満高度欠乏群が16名(18.4%)であった.骨密度測定者76名のうちYAM80%未満は12名であった.血清25(OH)D濃度は若年者で低い傾向(r=0.19,p=0.08)で,特に男性では血清25(OH)D濃度と年齢は正の相関が認められた(r=0.51,p=0.04).血清25(OH)D濃度と性別,%YAM,BMI,eGFRとは相関はなかった.

結論:ビタミンD健診受診者のうちビタミンD充足の割合は1割未満で,血清25(OH)D濃度が20ng/mL未満の欠乏状態が8割近くを占め,健常者でのビタミンD欠乏はまれではなかった.また,若年成人で血清25(OH)D濃度が低い傾向がみられ,若年者でのビタミンD欠乏のスクリーニングが必要である.

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© 2023 公益社団法人 日本人間ドック学会
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