人間ドック (Ningen Dock)
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症例報告
人間ドック時の上部消化管内視鏡検査で指摘されたダビガトラン起因性食道炎の2例
山田 聡志江部 直子八幡 和明富所 隆杉田 萌乃髙村 昌昭
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2024 年 38 巻 5 号 p. 694-698

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抄録

目的:人間ドックの上部消化管内視鏡検査(esophagogastroduodenoscopy: EGD)で指摘されたダビガトラン起因性食道炎(dabigatran-induced esophagitis: DIE)の2例について報告する.

方法:当院人間ドックのEGDで指摘されたDIEと考えられる食道炎の2例.

結果:症例1 76歳男性.心房細動にて68歳時からダビガトラン内服中.以前に食道症状ありEGDで食道に白色付着物を認めた.その後も食道の軽度の違和感を自覚していたが今回の人間ドック受診時のEGDで食道に膜様白色付着物を認め,面談時に内服方法の指導を行った.症例2 82歳男性.心房細動にて72歳時からダビガトラン内服中.以前の人間ドックでのEGDでは全周性に膜様白色付着物を認めることがあった.今回人間ドック受診時には食道症状の訴えはなかったがEGDでは食道全体に膜様白色付着物を認めた.かかりつけ医に連絡し,薬剤変更を行い,約1年後のEGDでは食道所見は改善していた.

結論:ダビガトランは近年頻用される抗凝固薬であるが,それに伴う食道病変の報告も多くなっている.以前は薬剤含有の酒石酸が炎症の主原因とされていたが,ダビガトランそのものの細胞障害性による可能性が高く,その時期の内服方法で所見が変化する可能性もあり,同疾患が疑われた場合は詳細な問診と指導,酸分泌抑制薬などの処方,薬剤の変更の検討も必要であり,臨床医との密な連携が必要と考えられた.

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