抄録
目的:胃の形には個人差があり,特に肥満者に見られる変形胃は,撮影体位・撮影方法を工夫しないと良好な二重造影像が得られない.そこで,受診者を低体重群(以下LW群:body mass index(BMI)<20),普通体重群(以下NW群:20≦BMI<25),肥満体重群(以下HW群:BMI≧25)に分類し,胃の形と粘膜面の描出等を比較検討したので報告する.方法:平成15年に当センターでDRを用いた胃X線検査を施行し,異常なしと判定された496例を上記の3群に分類し,無作為に抽出した各1OO例を対象とした.これらを胃の形,胃小区描出・バリウムの付着等についてU・M・L領域に分け,比較検討した.成績:胃の形はHW群に変形胃が多く,約60%は変形胃であった.良好に胃小区が描出されたのはLW群(U:72%,M:82%,L:65%),NW群(U:54%,M:69%,L:68%),HW群(U:48%,M:69%,L:81%)であった.バリウムの付着が良好なのはLW群(U:35%,M:39%,L:34%),NW群(U:31%,M:35%,L:43%),HW群(U:14%,M:20%,L:46%)であった.結論:HW群は変形胃が多く,幽門輪や前庭部の狭い部位では,二重造影像に圧迫を加えて押しひろげた撮影や拡大撮影をしている為,L領域の描出能が良好だったと考えられる.LW群のL領域,HW群のU・M領域の撮影方法に再考の必要性があると考えられる.