抄録
目的:人間ドックでの脈波伝播速度(pulse wave velocity:PWV)検査と生活習慣病との関連を検討した.方法:平成46年度に当センター人間ドックでPWV検査を施行した352人のなかで,PWV検査で正常(正常群)143人,動脈硬化あり(硬化群)209人を対象とした.両群と生活習慣病危険因子との関連,メタボリックシンドロームとの関連を比較検討した.次に,既に二次予防,三次予防の段階にある頻度を比較検討した.結果:硬化群は正常群に比し有意に高齢であった.血圧異常,耐糖能異常,高中性脂肪血症の頻度は硬化群に有意に高率であった.高総コレステロール血症,低HDLコレステロール血症の頻度は両群で有意差はなかった.肥満の頻度は両群で有意差はなかったが,メタボリックシンドロームの頻度は硬化群に有意に高率であった.既に二次予防,三次予防の段階にある頻度は硬化群に有意に高率であった.結論:PWV検査と生活習慣病との関連は強く認められた.PWV検査結果を生活習慣病との関連も考慮し。程度により積極的に二次予防・三次予防に介入することも必要と思われた.