人間ドック (Ningen Dock)
Online ISSN : 2186-5027
Print ISSN : 1880-1021
ISSN-L : 1880-1021
人間ドックの婦人科健診における経膣超音波断層法の卵巣病変検出に関する効果
平本 祐子野島 純恵東野 昌彦幡谷 功笹原 淳高橋 泰洋荒井 裕
著者情報
ジャーナル フリー

2005 年 20 巻 4 号 p. 644-648

詳細
抄録
目的:当健診センターでは2002年から,人間ドックの婦人科健診受診者全例に対して経膣超音波断層法(経膣エコー)の併用を開始した.そこでこの研究では,経膣エコー併用の卵巣病変検出に関する効果を明らかにすることを目的とした.方法:1999年から2003年までの人間ドック婦人科健診結果を集計し,経膣エコー導入前後について健診結果を比較した.経膣エコーはSONOVISTAMSC経膣プローブ(5.0-7.5Mhz)を用い,最大径30mm以上の附属器領域の充実性病変または嚢胞性病変を卵巣腫瘍または卵巣腫瘍疑いと診断した.双合診を含め卵巣の異常を指摘された受診者に対してアンケートを郵送し,追跡調査を行った.結果:年間平均受診者数1,650人に対して,卵巣病変検出数は1999年/1名(0.68%),2000年2名(0.12%),2001年5名(0.28%)であったが,経膣エコー導入後の2002年は50名(2.96%),2003年は66名(4.27%)であった.精密検査の結果,異常なしと回答された方は,双合診のみ4例,経膣エコー併用34例,卵巣嚢腫がそれぞれ1例と26例,卵巣腫瘍が2例と14例,子宮筋腫が4例と8例であり,卵巣がんと回答された方はいなかった.経膣エコー導入前の3年間に精査の結果手術を受けた方と,エコー導入後の2年間に手術を受けた方はそれぞれ1例と7例であった.結論:婦人科健診における経膣エコー併用により卵巣腫瘍およびその疑い病変の検出率は数倍から数十倍となった.経膣エコーは,双合診と補完的に用いることで卵巣病変の検出に極めて有効と考えられた.
著者関連情報
© 公益社団法人 日本人間ドック学会
前の記事 次の記事
feedback
Top