抄録
目的:人間ドックにおける乳がん検診は,単に死亡率の低減を目的とした集団検診と異なり,がんをより早期に発見し,乳房の温存や化学療法の軽減による術後のquality of life(以下QOL)の向上も求められている.我々は,乳がん検診における超音波検査の必要性を重視し,マンモグラフィ(以下MMG)と超音波検査(以下US)併用検診を10年にわたり施行してきた.今回,過去10年間の乳がん検診の検査成績を報告する.方法:1995年2月から2005年3月までにMMGとUSを併用した乳がん検診受診者のうち,30歳から69歳までののべ29,242名の検診成績について検討した.結果:要精検率6.0%,精検受診率81.4%,発見がん139例(がん発見率0.48%),うち早期がんは105例(早期がん率75.5%)であった.MMG/US各々のがん検出率は72.0%/84.6%とUSの方が高率であった.一方,発見がん139例(143病変)につき非浸潤がん(17病変)と浸潤がん(126病変)に分けてMMG/USの検出率を比較すると,各々88.2%/58.8%,72.2%/88.9%となり,非浸潤がんの診断にはMMGが有用であるが,浸潤がんの検出ではUSの方がより効果的であった.結論:より早期のがん発見を目指す人間ドックの乳がん検診においては,浸潤がんの見逃しを防ぐためにUSを必ず実施し,非浸潤がんを高率に検出できるMMGと併用することが望ましい.