人間ドック (Ningen Dock)
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PETドツク検診の現状について
龍 智子山永 義之杉江 由美谷村 陽子三輪 恵森田 誠一郎本間 穣
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2006 年 21 巻 3 号 p. 661-665

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抄録

目的:Positron emission tomography(PET)検査は「全てのがんがわかる」と思っている受診者が予想外に多い.そこで,当施設における2-fluoro[18F]-2-deoxy-d-glucose(FDG)を用いたPET検査によるがん検診(以下PETドックとする)の現状について検討し,今後の啓蒙活動につなげていきたい.方法:がんが発見された症例において,PET集積の有無と,がん発見の契機となった検査項目に注目し検討を行った.結果:対象者1,930名のうち,要精密検査者は120名(要精検査者率6.2%),精密検査受診者は97名(精検受診者率80.8%)であった.がん症例は29例(がん発見率1.5%)発見された.発見されたがん症例のうち,PET陽性がんは17例であり,残り12例はPET陰性がんで,PET以外の検査により発見された.その契機となったのは,上部消化管内視鏡検査,前立腺腫瘍マーカー(prostate specific antigen:PSA),便潜血反応検査,マンモグラフィ検査などであった.結論:PET検査によるがん発見率は従来の検診に比べ向上した.PET検査で発見され易いがんは甲状腺がん,大腸がん,肺がんなどであり,発見されにくいがんは胃がん,前立腺がん,乳がんであった.今回の結果により,PET検査は万全でないという点が再確認できたと共に,従来の検診の大切さを考えるよい機会となった.従って,PET検査と従来の検診を組み合わせることが重要であり,この点を受診者によく理解してもらうことが必要である.

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