人間ドック (Ningen Dock)
Online ISSN : 2186-5027
Print ISSN : 1880-1021
ISSN-L : 1880-1021
21 巻, 3 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
  • 宮崎 滋
    2006 年 21 巻 3 号 p. 639-646
    発行日: 2006/09/29
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
  • 清水 一紀, 三宅 康之, 大野 敬三, 池田 理絵, 野中 卓, 戎井 理, 楠 由紀子, 玉木 みずね, 藤井 靖久
    2006 年 21 巻 3 号 p. 651-655
    発行日: 2006/09/29
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    目的:2005年本邦におけるメタボリックシンドロームの診断基準が作成されたが,耐糖能にこ関する項目は空腹時血糖であり,動脈硬化のリスクとして注目されている食後高血糖との本邦における診断基準との関連は不明である.そこで今回,本邦におけるメタボリックシンドロームの診断基準と75g糖負荷試験を用いた負荷後血糖との関連について検討した.方法:2000年4月から2001年3月に人間ドックを受診した者のうち,既往歴がなくかつ健康であると自己申告した308名(男性247名,女性91名)を研究対象とした.結果:308名のうちメタボリックシンドロームと診断されたものは27名(8.7%)で,男性26名(12%),女性1名(1.1%)であった.このように女性は少数のため75g糖負荷試験は男性のみで検討した.その結果1時間値,2時間値ともに非メタボリック群に比しメタボリック群が有意に高値で(p=0.0083)(p<0.0001),非メタボリック群に比しメタボリック群では有意に境界型+糖尿病型及び糖尿病型の頻度が多く,またメタボリック群の糖尿病型はFPG 126mg/dl以上よりFPGI25mg/dl以下で2時間値200mg/dl以上の頻度が非メタボリック群に比して有意に多かった(p=0 .0285).結論:本邦のメタボリックシンドロームの診断基準は糖負荷後高血糖を反映していた.
  • 橋口 克頼, 小笠原 孝敏, 松田 元
    2006 年 21 巻 3 号 p. 656-660
    発行日: 2006/09/29
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    目的:乳がんは労働世代の女性に好発するがんであるが,職域保健分野ではあまり検診がなされていないのが現状である.当職域において,乳がんマンモグラフィ(mammography:MMG)による検診を導入することができたので事例報告する.方法:従業員850名中,女性が約半数の426名(年齢381±7.8歳)の某製造事業場で受診希望者を検診対象者とした.平成14年度より実施.検診に先立ち乳がんに関する教育講演を実施した.検診は巡回バスにて,専門医による視触診とMMG撮影を行った.結果:平成14年度講演受講77名(18.1%).乳がん検診受診176名(41.3%).平成15年度175名(41.1%).平成46年度201名(47.2%).検診結果は3年間で「異常なし/精検不要」のべ497名(84.6%),「要精検」のべ55名(15.4%).全例医療機関にて精査受診したが,3年間では乳がん例はみられなかった.結論:3年間の平均受診率は老人保健事業における報告の約3.3倍であった.費用は自己負担,就業時間外の実施であったが,従業員の高齢化を背景とした職場の高いニーズに基づき,相対的に高い受診率を示したものと考えられる。導入後3年経過した現在でも受診率が維持されており,当職域に定着してきた感がある.一般に職域保健の分野では乳がん検診自体あまり実施されていないのが実態であるが,今後はその予防対策の推進が重要であり,対策の両輪として教育とMMG検診が必要であろう.
  • 龍 智子, 山永 義之, 杉江 由美, 谷村 陽子, 三輪 恵, 森田 誠一郎, 本間 穣
    2006 年 21 巻 3 号 p. 661-665
    発行日: 2006/09/29
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    目的:Positron emission tomography(PET)検査は「全てのがんがわかる」と思っている受診者が予想外に多い.そこで,当施設における2-fluoro[18F]-2-deoxy-d-glucose(FDG)を用いたPET検査によるがん検診(以下PETドックとする)の現状について検討し,今後の啓蒙活動につなげていきたい.方法:がんが発見された症例において,PET集積の有無と,がん発見の契機となった検査項目に注目し検討を行った.結果:対象者1,930名のうち,要精密検査者は120名(要精検査者率6.2%),精密検査受診者は97名(精検受診者率80.8%)であった.がん症例は29例(がん発見率1.5%)発見された.発見されたがん症例のうち,PET陽性がんは17例であり,残り12例はPET陰性がんで,PET以外の検査により発見された.その契機となったのは,上部消化管内視鏡検査,前立腺腫瘍マーカー(prostate specific antigen:PSA),便潜血反応検査,マンモグラフィ検査などであった.結論:PET検査によるがん発見率は従来の検診に比べ向上した.PET検査で発見され易いがんは甲状腺がん,大腸がん,肺がんなどであり,発見されにくいがんは胃がん,前立腺がん,乳がんであった.今回の結果により,PET検査は万全でないという点が再確認できたと共に,従来の検診の大切さを考えるよい機会となった.従って,PET検査と従来の検診を組み合わせることが重要であり,この点を受診者によく理解してもらうことが必要である.
  • 前口 邦雄
    2006 年 21 巻 3 号 p. 666-673
    発行日: 2006/09/29
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    目的:当診療所では,人間ドック開設当初よりストレスと疾病との関連を重視し,質問紙によるストレスチェックを行ってきた.今回,総合判定の前にストレステストを分析することにより,ストレス関連疾患の早期発見・早期治療につながる可能性を得たので報告する.方法:平成15年4月より平成17年3月までの人間ドック受診者のうち,ストレステストを希望した1,108名で男性811名,女性297名を対象とし,当財団付属ストレス科学研究所版ストレスチェックリストを実施した.希望者に対しては,医師が詳細な個別面接を行った.ストレス指数が高得点(81点以上)であった51名につき分析した.結果:51名の内訳は心身症が18名,生活習慣病が17名で,さらに適応障害,不安障害,軽症うつ病等の精神疾患も高率に認められた.結論:人間ドック受診者である30-50代には勤労に伴うストレスが多く蓄積し,心身に強く影響していると思われる.ストレスチェックリストは受診者の不安やうつなどのメンタルヘルス状況を把握する一つの有効な手段である.生活習慣の改善やストレス対処法の指導を行うために,面接には十分な時間をかける必要がある。今後は人間ドックを心身両面での総合的な健康測定の場としてとらえ,身体疾患だけでなくストレス関連疾患の予防と早期発見・早期治療につなげることが重要と考える.
  • 秋貞 雅祥, 吉田 裕亮, 村井 哲夫, 清瀬 闊, 町田 喜久雄, 北沢 幸夫
    2006 年 21 巻 3 号 p. 674-679
    発行日: 2006/09/29
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    目的:東振協22年間の健診データ(約800万人の受診者)の時系列(脳)的解析を試みる.方法:対象を検診コース別にA~Cの3コースに,年齢別区分は,5区分した.検査成績の判定は,A判定~F判定の6区分に分けた.判定A,B,Cの3群間(A,B,C)または(A,B),C,(D,E,F)の3群間の人数の作る2直線の交角θ度は,ベクトル数学で用いる内積から求めた.結果:θ° で計測するこの新しい手法により,膨大な(1)量の比較,(2)各種の組み合わせの解析が容易となった.結論:交角θ°をパラメータとする新しい手法による比較処理は,迅速かつ正確であり,今後の統計処理に有用と思われる.コース別,臓器別,年齢別,など各クライテリヤ間の組み合わせ解析の結果,θ°の低下は老化の一指標となりうることが判明した.
  • 光畑 桂子, 前野 貴美, 渡会 真澄, 清水 尚子, 竹林 浩孝, 小田倉 章, 小松 正孝, 小野 幸雄
    2006 年 21 巻 3 号 p. 680-685
    発行日: 2006/09/29
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    目的:自記式質問票による満足度調査を行い,受診者の継続受診意志に関連する要因を検討し,更なるサービス向上に寄与することを目的とする.方法:2004年8月30日-9月3日に一日及び宿泊ドックを受診した407名を対象とした.質問項目は,スタッフの接遇,設備,説明のわかりやすさ,食事,待ち時間,プライバシーの配慮に対する満足度などで,合わぜて継続受診意志,知人への紹介を5段階で評価・点数化し集計した.満足度に関する項目の平均得点を求め「平均満足度」とし,「継続受診意志」「知人への紹介」との相関を求めた.また「継続受診意志」と関連する要因について重回帰分析を用いて検討した.結果:回収率は100%で407名の回答を得た.満足度に関する得点では接遇が高く(4.34点),待ち時間(3.16点)や食事が低かった(3.21点).「平均満足度」と「継続受診意志」「知人への紹介」の相関係数はいずれも0.47で,ある程度の相関が認められた.継続受診意志に関連する要因について重回帰分析を行った結果は接遇,設備,受診回数が関連する要因であった.結論:継続受診意志には「接遇」が重要であることが考えられた.満足度と継続受診意志との間にある程度相関がみられ,満足度を上昇させることにより継続受診につながる可能性が考えられた.食事や待ち時間の評価は低く,更なる改善の必要性が示唆された.
  • 金久保 雄樹, 飯村 秀樹, 小野 幸雄, 塩谷 清司, 菊池 和徳, 辻 勝久
    2006 年 21 巻 3 号 p. 686-688
    発行日: 2006/09/29
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    慢性肝疾患のない逐年受診者に発生した肝細胞がんの症例を経験した.7年前より毎年健診超音波検査を受けていた48歳女性において,肝S5とS6の境界領域に長径2cm大の充実性腫瘤を初めて認めた.既存肝実質は正常であったことから,非典型的な肝血管腫などの良性腫瘤を疑ったが,手術の結果肝細胞がんであった.超音波検査のスクリーナーは,慢性肝疾患を有さない肝細胞がんの可能性も念頭におき,肝腫瘤の鑑別所見を報告すべきである.
  • 石川 鉄也, 伊藤 亜由美, 紀太 義信, 加藤 幸久
    2006 年 21 巻 3 号 p. 689-693
    発行日: 2006/09/29
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    目的:本研究は2005年4月に,日本内科学会等8学会により発表されたメタボリックシンドローム(metabolicsyndrome:MS)の診断基準に沿ってどのような体格を目指せばデータの正常化が実現するかを検討することにある.方法:2004年度,当健診センターの人間ドック受診者18,377人(男性11,836,女性6,541)を対象とした.MSの診断基準において,A群:高グリセリド血症(150mg/dl以上)かつ/または低HDLコレステロール血症(40mg/dl未満),B群:空腹時高血糖(110mg/dl以上),C群:収縮期血圧(130mmHg以上)かつ/または拡張期血圧(85mmHg以上),D群:AかつB-G,E群:AかつC-G,F群:BかつC-G,G群:AかつBかつCとし,男女別にその分布状態を調べ,さらに,正常群:全体-(A+B+C),代謝異常群:D+E+F+Gにわけ,各々,体格指数(body mass index:BMI平均値),体脂肪率(bioelectrical impedance:BI平均値)を比較した.結果:結果は以下のようになった.男性の正常群(44.1%):BMI22.4,BI20.5.男性の代謝異常群(18.2%):BMI24.7,BI24.2.女性の正常群(69.4%):BMI21.2,BI26.2.女性の代謝異常群(6.1%):BMI24.3,BI31.5.結論:以上より,今回示した代謝異常群の平均値を利用し,メタボリックシンドロームと体格との関係が密に示された.さらにBMI24以上をMSの体格の基準値とし代用可能である.
  • 志賀 智子, 大和田 潔, 星野 達夫, 長原 光, 白鳥 敬子
    2006 年 21 巻 3 号 p. 695-703
    発行日: 2006/09/29
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    目的・方法:当院健康管理センターでは人間ドックのオプション検査として脳ドックを開設しているが,そこで平成16年1月から平成16年12月までの間に脳ドックを受診した570人について,脳ドックで発見された疾患,無症候性脳梗塞の危険因子などにつき検討した.結果:magnetic resonance imaging(MRI)およびmagneticresonance angiography(MRA)の判定で「異常あり」と判定されたものは「疑い」のあるものも含めて228人であった.そのうち,無症候性脳梗塞が181人であった.多変量解析における無症候性脳梗塞の危険因子は年齢,高血圧,眼底高血圧性変化であった(p<0.05).当研究は無症候性脳梗塞の危険因子としての眼底血管異常(眼底高血圧性変化,眼底細動脈硬化性変化)と高血圧の比較を初めて行ったものである.結論:無症候性脳梗塞の危険因子として,高血圧とともに眼底血管異常も独立した危険因子として認識する必要があると考えられた.
  • 志賀 朋子, 三浦 信彦, 武山 恒男, 東岩井 久, 千 哲三
    2006 年 21 巻 3 号 p. 704-707
    発行日: 2006/09/29
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    目的:当センターでは,子宮頸がん検診を実施しているが,反復受診者が大部分である.今後受診率の向上,あるいは新たに子宮体がん検診を企画する際の参考とすべく,受診者の意識調査を実施した.方法:2004年12月1日から2005年2月28日までに当センターを受診した1,868名の受診者にアンケート形式で調査を実施した.回答を得られたのは,523名で約28%であった.結果:回答者で子宮頸がん検診を受けたことがあるのは80%であった.当センターを受診した者で子宮頸がん検診を受けなかった者の理由は「健康だから」と「恥ずかしい」からが約半数をしめていた.子宮頸がんの初期自覚症状に関する設問では,自覚症状がないとの回答は約半数であった.また子宮体がん検診を知っているとの回答は72%であったが,20歳代,30歳代では57%であった.結論:健康診断を受診している意識の高い集団でも子宮頸がんと子宮体がんの違いや子宮頸がんの初期には自覚症状がないことなどがよく理解されていないことが判明した.このような結果が得られたことから,各医療機関で啓発にもっと努めることが必要であると考える.
  • 田村 由美子, 吉田 秀夫, 新井 祥子, 深澤 順子, 星本 さおり, 新海 佳苗, 園部 洋巳, 中村 和弘, 花岡 和明
    2006 年 21 巻 3 号 p. 708-712
    発行日: 2006/09/29
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    目的:働く中高年女性の健康上の問題点を明らかにするために,人間ドック受信時の問診票を中心に検討を加えた.方法:平成15年に当健康管理センターを受診した35歳から70歳までの女性,1,769名(平均年齢50.8±8.3歳)を対象とした.就労女性1,145名を,18の労働時間が8時間以下かつ1カ月の休日数が8日以上の条件を満たすものを短時間勤労群(以下短時間群)とし,就労している受診者を勤労群と短時間群の2群に分け,現在就労していない受診者624名を対照群とした.それぞれの群について,記入された問診票から,労働態様,生活形態,嗜好習慣,身体的および精神的愁訴について検討した.結果:勤労群と短時間群は対照群に比べ年齢が若かった。各群の生活形態・嗜好習慣については,勤労群で睡眠時間と定期的な運動習慣が少なく,喫煙,飲酒習慣,肉卵,塩分,甘いものの摂取が多く。野菜の摂取は少なかった.また,3度の食事をきちんととらない,寝る前に食事をとると回答した率が多かった.また,身体的及び精神的愁訴では,体がだるい,気がめいる,日常生活が楽しく過ごせていない,が勤労群で多かった.結論:中高年の就労女性では,日常生活習慣や精神面で多くの問題を抱えていることが示された.働く女性に対する新しい問診票を作成する上で,今回の検討が基礎的資料になると考えられた.
  • 望月 茂, 松岡 謙二, 冨田 照見, 中川 善雄, 三崎 文夫, 小林 正夫, 井上 穎樹, 福山 興一, 原田 康, 松原 明夫, 寅貝 ...
    2006 年 21 巻 3 号 p. 713-719
    発行日: 2006/09/29
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    目的:内臓脂肪(腹腔内脂肪)蓄積と動脈硬化の危険因子との関連を検討した.また,メタボリックシンドローム(Met.S.)に合併する高コレステロール血症(高CHO)について検討を加えた.対象と方法:平成16年度に当協会人間ドックで腹部CTによる内臓脂肪面積の計測,頚動脈工コー検査を受けた616人を対象とした.内臓脂肪面積とbody mass inde×(BMI)により4群に分類した.I群:内臓脂肪100cm2以上,BMI25以上,II群:内臓脂肪100cm2以上,BMI25未満,III群:内臓脂肪100cm2未満,BMI25以上,IV群:内臓脂肪100cm2未満,BMI25未満.I群-IV群における各危険因子の頻度を調べた.また,Met.S.に合併する高CHOについて検討した.結果:I群,II群は正常群(IV群)に比し,血圧高値,リポ蛋白異常,高血糖,危険因子2個以上重積,高CHO,高LDL-CHOの各頻度は有意に高かった.高CHOを伴うMet.S.は高CHOを伴わないMet.S.に比して,頚動脈プラークの頻度が有意に高かった.Met.S.と高LDL-CHOの合併の有無と頚動脈プラークの頻度との間には有意差を認めなかった.結論:内臓脂肪蓄積により動脈硬化の危険因子数は増加する.高CHOを伴うMet.S.群は高CHOを伴わないMet.S.群に比し,頚動脈プラークの頻度は有意に高かったが,Met.S.と高LDL-CHOの合併の有無と頚動脈プラークの頻度との間には有意差を認めなかった.
feedback
Top