人間ドック (Ningen Dock)
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職域における乳がん対策について―乳がんマンモグラフィの導入事例―
橋口 克頼小笠原 孝敏松田 元
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2006 年 21 巻 3 号 p. 656-660

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抄録

目的:乳がんは労働世代の女性に好発するがんであるが,職域保健分野ではあまり検診がなされていないのが現状である.当職域において,乳がんマンモグラフィ(mammography:MMG)による検診を導入することができたので事例報告する.方法:従業員850名中,女性が約半数の426名(年齢381±7.8歳)の某製造事業場で受診希望者を検診対象者とした.平成14年度より実施.検診に先立ち乳がんに関する教育講演を実施した.検診は巡回バスにて,専門医による視触診とMMG撮影を行った.結果:平成14年度講演受講77名(18.1%).乳がん検診受診176名(41.3%).平成15年度175名(41.1%).平成46年度201名(47.2%).検診結果は3年間で「異常なし/精検不要」のべ497名(84.6%),「要精検」のべ55名(15.4%).全例医療機関にて精査受診したが,3年間では乳がん例はみられなかった.結論:3年間の平均受診率は老人保健事業における報告の約3.3倍であった.費用は自己負担,就業時間外の実施であったが,従業員の高齢化を背景とした職場の高いニーズに基づき,相対的に高い受診率を示したものと考えられる。導入後3年経過した現在でも受診率が維持されており,当職域に定着してきた感がある.一般に職域保健の分野では乳がん検診自体あまり実施されていないのが実態であるが,今後はその予防対策の推進が重要であり,対策の両輪として教育とMMG検診が必要であろう.

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