人間ドック (Ningen Dock)
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21年間の人間ドックデータからみる血清尿酸値および尿pHとメタボリックシンドローム関連諸因子との関係
辻 裕之宮川 めぐみ有元 佐多雄謝 勲東中島 弘原 茂子
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2007 年 22 巻 3 号 p. 383-388

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抄録

目的:血清尿酸値(UA)および尿pHと,メタボリック症候群(MetS)との関連について検討する.方法:虎の門病院人間ドックでの21年間の受診者のべ225,826名(男性168,042名,女性57,784名)を対象として,UAおよび尿pHと,MetSとの関連について多角的に分析した.また本研究でのMetSの判定基準は,ウエスト周囲径のかわりに肥満指数(body mass index:BMI)25以上を使用した.結果:21年の経過で男女ともにUAの上昇,尿pHの低下およびMetS発現率の上昇が見られ,UAおよび尿pHは,MetS関連諸因子(血圧・空腹時血糖・中性脂肪・HDL cholesterolおよびBMI),さらに自己申告による疾患有病率の大部分と関連していた.さらに初診時BM正常者のその後のMetS発現率を初診時の尿酸値および尿pHとの関連でみると,初診時に高尿酸血症(UA:7.1mg/dl以上),または酸性尿(pH:5.5未満)があると,その後のMetS発現率は有意に高値であった。結論:UAと尿pHは,MetSと関連する因子や疾患有病率と有意な関連性があり,MetSおよび関連疾患発症のリスク因子であることが示された.さらに初回受診時のUAと尿pHが,その後のMetS発症に関連していることから,これらはMetSの先行指標となりうるものと考えられた.

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© 公益社団法人 日本人間ドック学会
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