抄録
目的:ドック受診者で肥満に伴う糖・脂質代謝異常や高血圧が少なくない.10年の経過で,肥満者の代謝・血圧異常の推移を調査した.対象と方法:インピーダンス法による体脂肪で肥満を判定し,肥満による糖・脂質代謝や血圧異常の頻度や検査値への影響を検討し,さらにこれら肥満者のうち,10年後にもドックを受検した人で肥満や代謝・血圧の推移を見た.結果:女性では19.2%に肥満がみられ,肥満度による年齢差はなかったが,肥満度が高いと血糖値や脂質値,血圧などの動脈硬化性疾患のリスクも高かった.10年後では一時肥満の軽快はあっても再び肥満となり易く,ことに高度肥満者では肥満の解消が難しく,リスクも増加した.男性では17.7%に肥満がみられ,高度肥満は若年者に多く,代謝・血圧異常と肥満度とは必ずしも比例しなかった.10年の経過では肥満度の改善がみられ,リスクの改善や進展の低下につながっていた.結論:女性では肥満の改善は難しく,10年の経過でリスクの悪化がみられ,加齢と最初の肥満度が影響していた.男性では肥満の改善があり,リスクの悪化も女性ほどではなく,最初の肥満度より加齢がリスク進展に影響しており,男女の肥満に質的差異が考えられた.